[2023_04_21_02]処理水海洋放出 「風評被害起きる」93% 福島県内首長アンケート、問われる政府対応 「理解広がっていない」59%(福島民報2023年4月21日)
 
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処理水海洋放出 「風評被害起きる」93% 福島県内首長アンケート、問われる政府対応 「理解広がっていない」59%

 東京電力福島第1原発の放射性物質トリチウムを含んだ処理水の処分を巡り、政府が福島県沖での海洋放出を決定して2年になったのに合わせ、福島民報社が実施した県内59市町村長アンケートで、海洋放出した場合に風評被害は起きると思うかを聞いたのに対し、55市町村長(93%)が起きるとの見解を示した。政府方針への理解については35市町村長(59%)が広がっていないとした。政府が「春から夏ごろ」とする放出開始を目前に控え、風評対策と理解醸成の取り組みの在り方が問われる結果となった。
 風評被害に関する回答結果は【設問1】の通り。50市町村長(85%)が「ある程度の風評被害が起きる」、4村長(7%)が「大きな風評被害が起きる」と答えた。各市町村長の回答から風評被害を起こさないための対応の重要性が読み取れた。「ある程度の風評被害が起きる」と回答した浪江町の吉田栄光町長は風評防止に向けて「国には行動計画に基づき、万全な対策を講じてほしい」と求めた。全国市長会長を務める相馬市の立谷秀清市長は放射線教育の不足を指摘した。福島市の木幡浩市長は「大なり小なり、必ず風評は生じる」として「大きな風評被害が起きる」と「ある程度の風評被害が起きる」の両方を選んだ。
 一方、「ほとんど風評被害が起きない」と「全く風評被害が起きない」はゼロだった。
 政府は処理水の海洋放出に伴う新たな風評を抑制するため、国内だけでなく国際社会の理解醸成が不可欠としている。アンケートでは政府方針への理解度も聞いた。回答結果は【設問2】の通り。33市町村長(56%)が「あまり理解が広がっていない」、2町村長(3%)が「全く理解が広がっていない」と答えた。
 福島民報社が昨年4月に実施した前回アンケートでは、44市町村長(75%)が「あまり理解が広がっていない」か「全く理解が広がっていない」を選んだ。その後、一定程度の理解が広がったとみられるが、依然として過半数が理解醸成の乏しさを感じている。
 今回のアンケートで「全く理解が広がっていない」とした泉崎村の箭内憲勝村長は「国民が理解できる形でもっと議論を進めるべきだ」と訴えた。
 一方、福島第1原発が立地する大熊、双葉両町を含む21市町村長(36%)が「少しは理解が広がっている」とした。処理水の安全性を伝える新聞広告やテレビCMなどの政府広報に一定の効果があるとの意見が複数あった。

■設問1 処理水を海洋放出した場合、風評被害は起きると思いますか

▼大きな風評被害が起きる=4
大玉、北塩原、泉崎、鮫川

▼ある程度の風評被害が起きる=50
会津若松、白河、須賀川、喜多方、相馬、二本松、
田村、南相馬、伊達、本宮、桑折、国見、川俣、
鏡石、天栄、下郷、檜枝岐、只見、南会津、
西会津、猪苗代、会津坂下、湯川、柳津、三島、
金山、昭和、会津美里、西郷、中島、矢吹、
棚倉、矢祭、塙、石川、玉川、平田、浅川、
古殿、三春、小野、広野、楢葉、富岡、川内、大熊、双葉、浪江、葛尾、新地

▼ほとんど風評被害が起きない=回答なし

▼全く風評被害が起きない=回答なし

▼その他=4福島、郡山、いわき、磐梯

▼無回答=1飯舘

■設問2 処理水を本県沖で海洋放出する政府方針について、県内外での理解は広がっているとお考えですか

▼かなり理解が広がっている=回答なし(回答なし)

▼少しは理解が広がっている=21(9)

いわき、須賀川、本宮、鏡石、天栄、檜枝岐、只見、南会津、猪苗代、会津美里、塙、玉川、浅川、広野、楢葉、富岡、川内、大熊、双葉、浪江、葛尾

▼あまり理解が広がっていない=33(43)
福島、会津若松、白河、喜多方、二本松、田村、南相馬、伊達、桑折、川俣、大玉、下郷、北塩原、
西会津、磐梯、会津坂下、湯川、柳津、三島、金山、昭和、西郷、中島、矢吹、棚倉、矢祭、鮫川、石川、平田、古殿、三春、小野、新地

▼全く理解が広がっていない=2(1)

国見、泉崎

▼その他=2(3)郡山、相馬

▼無回答=1(3)飯舘

※単位は人。塙町は宮田秀利町長が入院中のため、職務代理者の江田一寛総務課長が回答した。県内外での理解に関する設問のかっこ内は昨年4月に実施したアンケート結果。風評被害の設問は今回新たに聞いた
KEY_WORD:汚染水_:FUKU1_: