[2023_04_06_01]敦賀原発審査 再び中断 原電 問われる資質 繰り返すミス 改善できず(東奥日報2023年4月6日)
 
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敦賀原発審査 再び中断 原電 問われる資質 繰り返すミス 改善できず

 原子力規制委員会は、日本原子力発電敦賀原発2号機(福井県)の再稼働審査中断の方針を決めた。原電は敷地内にある断層は活断層ではないと主張するが、提出した資料で誤りを繰り返し、改善できていないためだ。原発専業の電力会社である原電には2号機をあきらめて廃炉にする選択肢はなく、再稼働を目指す姿勢を貫くとみられる。だが、事業者としての資質を問われかねない状況で、2号機を取り巻く状況は厳しくなってきた。

 「果たして活断層を否定できる見通しがあるのか。否定するための証拠探しを続けられたら、いつまでも審査が終わらないのではないか」。5日の規制委定例会合で杉山智之委員は、出口が見えない審査の行方に懸念を示した。伴信彦委員は「書類のクオリティー(質)が低いことを理由に審査を打ち切ることはできないのか」と事務局に確認を求めた。
 新規制基準では、重要施設の直下に活断層があれば再稼働できない。敦賀2号機から約250メートルに活断層「浦底断層」があり、そこから枝分かれするように原子炉建屋直下に断層が延びる。規制委の有識者調査団は2013年、原子炉直下の断層は活断層と評価した。
 それでも原電は再稼働を目指し、15年に審査を申請。その後、敷地内の新たなボーリングのデータを審査で示した。
 しかしデータの一部が書き換えられていたことが20年2月に発覚。約2年間審査が中断し、再開後にも過去の提出資料の誤りが見つかった。今年3月17日の審査会合では、観察する地層の場所を間違えたミスが報告された。規制委側が指摘しなければ見つからない可能性が高いものだった。
 規制委事務局の幹部は「ミスはない、大丈夫だと言っても、直後に間違いが見つかる。これでは全く信用できない」といらだちを隠さない。
 原電が所有する原発は敦賀2号機と東海第2原発原発(茨城県)だけで、いずれも再稼働のめどは立たない。東北、東京、関西、中部、北陸の電力各社は原電と受電契約を締結。各社は、受け取る電気がゼロでも維持費に相当する「基本料金」を支払っている。
 原発は停止中でも巨額の維持費や安全対策費がかかる。電力業界が原電を支えている形だが、ある電力会社の関係者は「原電が原発を動かす見通しが立たないまま、多額の金を出し続けている状態はよくない。このまま原発を稼働させられないなら、原電の存在意義が問われる」と指摘する。


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