[2023_02_10_07]政府、GX基本方針を閣議決定 原発推進へ政策転換(毎日新聞2023年2月10日)
 
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政府、GX基本方針を閣議決定 原発推進へ政策転換

 政府は10日、脱炭素社会への移行を進めるグリーントランスフォーメーション(GX)に向けた基本方針を閣議決定した。脱炭素化とエネルギーの安定供給を目的に、次世代原発へのリプレース(建て替え)の推進や、既存原発の60年超の運転を認める方針を正式に決めた。
 東京電力福島第1原発事故後、政府は原発の新増設とリプレースを「想定していない」との姿勢を続けていたが、原発を長期的に活用する方針に転換した。今回の政策変更を盛り込んだ原子力基本法、原子炉等規制法、電気事業法などの関連改正法案を今国会に提出する。
 原発の運転期間は「原則40年、最長60年」との現行ルールの骨格を残した上で見直す。原子力規制委員会の安全審査などに伴う長期停止期間を運転期間から除外することで、追加的な延長を認める制度を新設。国内の既存原発は全て対象となる見込みで、実質的に60年超の運転が可能となる。
 経済産業省は、運転延長ルールを「必要に応じて見直す」と説明しており、今後、既存原発から次世代原発へのリプレースが進まなければ、運転期間の再延長や上限撤廃に踏み切る可能性もある。
 次世代原発は、既存原発の廃炉と合わせたリプレースを優先する。昨年末にとりまとめたGX基本方針では、リプレースの対象を「まずは廃止決定した炉」と表現したが、今回は「廃炉を決定した原発の敷地内での建て替え」と修正した。
 自民党の一部原発推進派が「1基が廃炉になれば、どの地域で原発を建設しても『建て替え』とみなせる」と主張したため、抑制的な原発利用を求める公明党などに配慮してリプレースの対象をより明確化した。
 政府は、今回の原子力政策の転換に関わらず、エネルギー政策の中長期の方向性を示す「エネルギー基本計画」は改定しない方針だ。
 2021年に閣議決定した現行計画では、原発への依存度を「可能な限り低減する」と明記したが、西村康稔経産相は「福島原発事故前の原子力比率(約3割)から低減するという趣旨だ」と説明している。
 21年度の発電電力に占める原発の割合は6・9%。現行計画では、30年度の原発比率を20〜22%とする目標を掲げており、運転期間の延長や次世代原発へのリプレースは目標実現に必要な政策と位置づけている。【浅川大樹】
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