[2022_12_17_09]全国初、原発の電気活用し水素を製造 福井県敦賀市と関西電力が実証実験開始(福井新聞2022年12月17日)
 
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全国初、原発の電気活用し水素を製造 福井県敦賀市と関西電力が実証実験開始

 福井県敦賀市と関西電力は12月16日、原子力発電の電気を活用した水素製造の実証実験を開始したと発表した。両者によると原子力発電由来の水素製造は全国初。「原子力を活用した水素サプライチェーン(供給網)の構築実現に向けた検討を重ねていく」としている。
 市は東芝エネルギーシステムズ(川崎市)と2018年に基本協定を締結し、水素エネルギー利活用に向けた取り組みを続けている。関電は自社のゼロカーボンロードマップに「原子力エネルギーを将来的には、電気や高温熱を使った水素製造にも活用し、原子力のさらなる可能性の拡大を図る」と掲げ、検討を進めてきた。両者の取り組みが合致した格好で、原発由来の水素製造は、19年12月に敦賀市古田刈の市公設地方卸売市場に開所した北陸初の水素ステーションで行う。
 実証実験では、嶺南地域の関電の原発から既存の送電線網で電力供給を受け、水素を製造。燃料電池車や貯蔵するカードル(容器)に供給して利用する。関電が開発したトラッキング(追跡)システムで、原子力発電の電気で製造された水素が利用されるまでを特定する。実証実験は2月末まで。
 関電は「発電時に二酸化炭素を排出せず、安定的に発電できる原子力エネルギーを活用した“クリーンな水素”が製造できる」と説明。市の水素ステーションでは系統電源や太陽光発電による水素製造を行ってきたが市の担当者は「離れた場所のゼロカーボン電源(原発)による水素製造で、水素の道が広がると考えている」と話した。
 県内の原発立地地域の将来像を議論する国主催の「共創会議」では、原発の電力を使って製造する水素を2025年大阪・関西万博会場へ供給する方針を掲げている。
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