[2022_12_04_07]自民現職が初めて東海第2原発原発再稼働賛成を鮮明に 茨城県議選(毎日新聞2022年12月4日)
 
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自民現職が初めて東海第2原発原発再稼働賛成を鮮明に 茨城県議選

 11日投開票の茨城県議選で、同県東海村(定数1)の自民現職が初めて、日本原子力発電東海第2原発原発の再稼働賛成を鮮明にして争点化を図っている。一方、共産新人は再稼働を含めて原発回帰にかじを切った政府に危機感を強める。
 「必要なら原発を動かす」。自民現職の下路健次郎氏(50)は2日の第一声で強調した。安全対策工事と広域避難計画の整備を前提とした上で、「それ(再稼働)以外の選択肢はない。選挙戦の柱にする」と断言した。
 2011年の運転停止後2回の選挙では賛否を明言しなかった。第一声で方針転換の理由に挙げたのは、20年に廃案にした県民投票条例案。再稼働への賛否を県民投票で問うことが8万人以上の署名で直接請求されたが、県議会で多数を占める自民などが実質1日の審議で否決した。「住民投票に頼らず問題を判断するのが議員の仕事」と反対理由を説明。「廃案の日以来、この問題(再稼働)を選挙で議論できると思った」と語った。
 演説後、毎日新聞の取材に「(条例案審議で)県政でコンセンサスができた」と独自の解釈も述べた。「当選すれば村民の理解が示されたことになる」と、再稼働に向けた“民意”を示す狙いだ。山田修村長や村議12人が応援し、原子力関係の労働組合など120以上の団体から推薦を受ける。

 共産新人は「廃炉を願う選挙に」

 下路氏から遅れること約30分、共産新人の川崎篤子氏(69)は同じ場所で第一声に立った。「暮らしを守り、再稼働ストップ、廃炉を願う選挙になる」
 東海第2原発から1キロ以内に住み、2期務めた村議時代から廃炉を求める。三つどもえとなった前回選は下路氏の約2割の得票にとどまり最下位。選対本部長の大名美恵子村議(共産)は「考え方の違いが明確になった」と、旗幟(きし)鮮明になった下路氏に挑む。
 陣営に熱が入るのは、政府が8月、東海第2原発など原発7基について、来夏以降の再稼働を目指す方針を明示したからだ。
 東海第2原発は避難計画の策定が義務付けられる半径30キロ圏内に約94万人の人口を抱え、稼働から40年超が経過。川崎氏は第一声で「古くて危ない原発。福島のような事故が起きれば、避難は不可能」と主張。原子力の代替として再生可能エネルギーの推進を掲げた。
 第一声には無所属の阿部功志村議らも出席。大名村議は「村の意見は一つではないことを示したい」と話す。
村民は争点に挙げる人が多数
 村民に話を聞くと、賛否は分かれても避難計画や再稼働を争点に挙げる人が多数だった。一方、県全域での議論は低調だ。原電は24年に安全対策工事の完了を予定している。新議員の任期中に、県が再稼働に必要な地元同意を判断する可能性は少なくない。同村の主婦(71)は「事故が起きれば、県の大部分が被害を受ける。他の候補者も自分事として考えてほしい」と注文した。【木許はるみ】
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