[2022_12_01_06]電力3社側に史上最高1000億円超の課徴金命令へ 公取委(毎日新聞2022年12月1日)
 
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電力3社側に史上最高1000億円超の課徴金命令へ 公取委

 企業向け電力の販売を巡り、大手電力会社などが互いの顧客獲得を制限するカルテルを結んだとして、公正取引委員会は1日、中部電力(名古屋市)▽中国電力(広島市)▽九州電力(福岡市)の3社側に独占禁止法違反(不当な取引制限)に当たる行為があったとして、計1000億円超の課徴金納付を含む処分案を通知した。課徴金総額は過去最高となる見通し。

 カルテルを認定

 他に通知を受けたのは、中部電のグループ会社「中部電力ミライズ」(名古屋市)と、九電のグループ会社「九電みらいエナジー」(福岡市)。国は電力の販売価格やサービスで受給側の選択肢が広がるよう、2000〜16年に電力販売を供給電圧別に順次自由化した。今回のカルテルについて、公取委は自由化政策の根幹を揺るがす重大な違反行為とみている。
 関係者によると、関西電力(大阪市)は18年秋以降、中部電と中部電力ミライズ▽中国電▽九電と九電みらいエナジー――との間でそれぞれ大規模工場やデパートが対象の「特別高圧」電力や中小規模工場やビル向けの「高圧」電力などの販売について、自由化前の供給域を互いに維持し、競争を制限する合意をした疑いがある。安値競争を避けるためとみられ、20年10月まで続いたという。
 公取委は21年4〜7月に各社を立ち入り検査し、違反行為の有無について調査してきた。関電は立ち入り検査前、公取委にカルテルがあったことを自主申告したとみられ、課徴金減免制度(リーニエンシー)によって課徴金納付を免れる見込み。公取委は今後、通知を出した3社側の意見を聴いた上で、22年度内に3社側に課徴金納付命令や排除措置命令を出す方針。この排除措置命令には、関電が違反行為に関わったことも記載されるとみられる。関係者によると、各社は役員級が協議してカルテルを結び、その後も合意が守られているか確認していたという。
 公取委が命じた課徴金納付は、19年に道路舗装工事に用いるアスファルト合材を巡って価格カルテルを結んだ8社に課した398億円超がこれまでの最高額。今回は、合意地域が広かった中国電が1社だけでこの過去最高額を上回るとみられる。
 一方、中部電を巡っては東邦ガス(名古屋市)などと家庭向け電気や都市ガスの供給で価格を維持するカルテルや談合をしていた疑いも浮かんでおり、公取委は引き続き調査を進める方針。【柿崎誠、浅川大樹】
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