[2022_12_01_01]「検察は結論ありきだ」 告発団体が批判 関電前会長ら不起訴(毎日新聞2022年12月1日)
 
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「検察は結論ありきだ」 告発団体が批判 関電前会長ら不起訴

 関西電力元役員らの金品受領に端を発した一連の問題で、大阪地検特捜部は1日、会社法の特別背任や業務上横領などの疑いで告発された八木誠前会長(73)ら歴代トップ3人について、再び容疑不十分で不起訴処分にした。大阪第2検察審査会(検審)が7月に「起訴相当」と議決し、この日が再捜査の期限だった。
 「大阪地検は結論ありきで言い逃ればかり。こんなことが許されるのか」。旧経営陣を刑事告発した市民団体「関電の原発マネー不正還流を告発する会」の代理人を務める河合弘之弁護士はオンラインで記者会見し、特捜部の再捜査結果に憤りを隠さなかった。
 報酬補てん(ほてん)問題は検察審査会の再審査に移るが、社会の注目を集めた金品受領問題は関連容疑の不起訴が確定した。河合氏は「一連の不正の中核に蓋(ふた)をされたのは残念としか言いようがない」と語った。
 園田寿・甲南大名誉教授(刑事法)は「検察は業務の実態があったと言うなら、内容をきちんと説明すべきだ。関電の社内調査の内容とも矛盾しており、市民の不信感が反映された検審の指摘に十分応えているのか疑問が残る」と批判した。
 近年は検審の議決を受け、「捜査のプロ」の判断が覆されるケースが続く。
 菅原一秀・元経済産業相を巡る公職選挙法違反事件や黒川弘務・元東京高検検事長の賭けマージャン事件も、検察は「起訴相当」とした検審の議決後に再捜査し、いずれも略式起訴した。ただ、これらは不起訴処分の際、犯罪事実は認められるものの悪質性などを踏まえて起訴を見送る「起訴猶予」と判断された。
 一方、関電の旧経営陣の不起訴理由は、証拠が足りないとする「容疑不十分」だった。検察内部には検審の判断を尊重して強引に起訴に持ち込んでも、刑事裁判で無罪判決が出ることへの懸念もある。
 東京電力福島第1原発事故を巡り、東京地検が2度にわたり容疑不十分で不起訴にした東電の旧経営陣3人は2016年2月、検審の議決を経て業務上過失致死傷罪で強制起訴された。しかし、19年9月の東京地裁判決は全員に無罪を言い渡した。ある検察関係者は「無罪の可能性があるならば、相手の人権も考えて慎重になるのは当然だ」と話した。【沼田亮、古川幸奈、山本康介】
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