[2022_11_16_09]核ごみ調査、17日で2年 北海道2町村、安全に根強い懸念 原発活用も見通せぬ最終処分地(時事通信2022年11月16日)
 
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核ごみ調査、17日で2年 北海道2町村、安全に根強い懸念 原発活用も見通せぬ最終処分地

 原発の使用済み核燃料から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分地選定の第1段階に当たる「文献調査」が、北海道寿都町と神恵内村で開始されて17日で2年となる。地元住民や周辺自治体の安全性などへの懸念は根強く、第2段階の「概要調査」に進む見通しは立たない。政府は原発を最大限活用する方針にかじを切ったが、核のごみの行き場がない「トイレなきマンション」状態の解消は急務だ。

 寿都町は2020年10月、処分地選定のための文献調査に応募し、神恵内村も受け入れを決めた。原子力発電環境整備機構(NUMO)が2年程度をかけ、地震や活断層がないかなどの記録を調査。現在、報告書をまとめる作業が進められ、経済産業省は近く開く有識者会議で技術的に評価する方針だ。
 第2段階の概要調査(4年程度)では穴を掘って地盤や地層を分析し、第3段階の「精密調査」(14年程度)では地下に実験施設を設けて検証する。各段階に進むには地元市町村長と知事の同意が必要だ。国は協力自治体に文献調査で最大20億円、概要調査で最大70億円の交付金を支給する。
 町長主導で応募を決めた寿都町では、概要調査移行は住民投票で賛否を問う方針だ。同町の田中則之さん(67)は「地下深くに埋められることを知り、安心だ」と話す。槌谷和幸さん(73)は「NUMOの説明は埋めることが前提。交付金に頼らない町づくりも必要だ」と不信を募らせる。片岡春雄町長は「(調査応募の)最初が強引だった」と反省するが、町民は割れたままだ。神恵内村は、地元商工会の要望で受け入れを決めたものの、先行きを不安視する住民も少なくない。
 北海道の鈴木直道知事は「核のごみは受け入れ難い」とする条例に基づき、概要調査移行に反対する姿勢を示す。持ち込みを拒否する条例を相次ぎ制定した周辺自治体との溝も深い。
 西村康稔経産相は「(核のごみは)社会全体で解決しないといけない課題。できるだけ多くの地域で文献調査を実施したい」と説明。これまでに全国各地で約160回の説明会が開催された。しかし、核のごみ受け入れへの抵抗感は強く、2町村以外に手を挙げる自治体は現れていない。
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