[2022_11_14_08]三重沖の地震、なぜ東日本が揺れた? 「異常震域」過去にも発生(毎日新聞2022年11月14日)
 
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三重沖の地震、なぜ東日本が揺れた? 「異常震域」過去にも発生

 14日午後5時9分ごろ、福島県と茨城県で震度4、関東地方の広い範囲で震度3を観測する地震があった。気象庁によると、震源地は三重県南東沖で、震源の深さは約350キロ、地震の規模はマグニチュード(M)6・1と推定される。
 なぜ震源から遠く離れた東日本で揺れたのか。「異常震域」と呼ばれる現象が起きたことが、その理由だ。
 政府の地震調査委員会の平田直委員長によると、メカニズムはこうだ。
 震源付近では陸のプレートの下にフィリピン海プレートが沈み込み、さらにその下に太平洋プレートが沈み込んでいる。今回の地震は震源が非常に深く、太平洋プレートの内部で発生したとみられる。

 地震波は、プレートの中では伝わりやすいが、他の部分では減衰しやすい特徴がある。太平洋プレートは本州付近では東に行くほど浅くなっており、太平洋プレートと接する陸のプレートに地震波が伝わりやすかった。このため、震源に近い中部地方よりも、東日本の方が大きく揺れたとみられる。
 異常震域のあった地震は過去にも起きている。2019年7月には三重県南東沖の深さ約390キロでM6・6の地震があり、宮城県で震度4を観測した。

 東海から日向灘に至る海域では、フィリピン海プレートと陸のプレートの境界で起こるM8〜9の「南海トラフ地震」の発生が想定されているが、今回の地震はその境界面よりもかなり深い場所で、直接の関係はないという。
 平田さんは「異常震域の地震は時々起こるもの。一般的に深いところで起こる地震は余震が少ないが、まれに、続いて同規模の地震が起こることがある。強い揺れを感じた場所では、引き続き強い揺れになることに気を付けた方がよい」と話す。【池田知広】
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