[2022_11_08_01]原発「最長60年」骨抜きに…停止期間は運転年数から除外と経産省提案 停止10年なら60+10=70年(東京新聞2022年11月8日)
 
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原発「最長60年」骨抜きに…停止期間は運転年数から除外と経産省提案 停止10年なら60+10=70年

 「原則40年、最長60年」と定められている原発の運転期間を巡り、経済産業省は8日、再稼働に向けた原子力規制委員会の審査で、停止している期間を運転年数から除外する案を、有識者会議で示した。この案では、運転開始から60年を超えた稼働が事実上可能となる。委員の多くが同時に示された運転期間の上限撤廃案を支持したものの、経産省は「停止期間除外」案を軸に検討し、年末に法整備に向けた結論を出す。(増井のぞみ)
 原発の運転期間の上限は、2011年の東京電力福島第一原発事故を踏まえてリスクを減らすため、民主党(当時)、自民党、公明党の与野党が合意して原子炉等規制法(炉規法)に盛り込まれた。ただ岸田文雄首相は今年8月、電力需給逼迫の克服や50年の脱炭素社会の実現のため、運転期間の延長を指示した。
 経産省はこの日、有識者会議「原子力小委員会」で原発の運転期間について、@現行の上限規定の維持A上限規定の撤廃B上限規定を維持しつつ停止期間を除外ーの3案を示し、Bについて詳しく説明した。
 除外できる期間として、福島事故後にできた新規制基準の適合に向けた審査のほか、行政命令、裁判所による運転禁止命令などで停止している期間を例示した。審査で10年間停止している場合、この10年が運転期間の上限に追加される。これらは、電力会社の判断とは関係なく停止を余儀なくされた「他律的な要素」と位置付けた。
 政府は炉規法の上限規定について、電気事業法などで定め直す方針。
 一方、規制委は今月2日、上限規定の撤廃を前提に運転開始から30年以降、10年ごとに設備の劣化を調べ、運転継続を認可する新たな規制の仕組みを公表したばかり。運転期間の上限がどのように変わろうと、「停止期間を運転年数から除外しない」という方針を貫くことを強調している。
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