[2022_10_29_03]最新鋭原発オルキルオト3号機で給水ポンプの羽根車にひび割れ 試運転中の原発が長期停止(フィンランド) 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)(たんぽぽ2022年10月29日)
 
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最新鋭原発オルキルオト3号機で給水ポンプの羽根車にひび割れ 試運転中の原発が長期停止(フィンランド) 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)

 ワールドニュークリアニュース(WNN)が10月28日に伝えるところによると、建設中で、調整運転を行っているフィンランドのオルキルオト原発3号(欧州加圧水型軽水炉・EPR172万kW)の給水ポンプ4基すべてに数cmの亀裂が確認された。
 所有者のティオリスーデン・ボイマ社(TVO)は、原発の試運転日程に与える影響はまだわからないと述べた。
 オルキルオト原発は今年3月から試運転段階に入っている。
 10月18日、TVOは、点検作業中に発電所のタービン建屋にある給水ポンプ内部で損傷が発見されたと発表した。
 この給水ポンプは、オルキルオトで最大のポンプであり、給水タンクから蒸気発生器に水を送るために使用される。TVOは、ポンプで検出された亀裂は原子力の安全性に影響を与えないとしている。

−−− 以下、TVOのホームページより。
 オルキルオト3号のタービン建屋にある給水ポンプの構造は、発電所で一般的に使用されているものと変わらない。ただし、オルキルオト3号機のポンプは運転する原子炉の運用に合わせて設計されており、サイズが他の発電所と比較して大きくなっている。
 調査は現在、いくつかの研究所で進行中である。ポンプの羽根車に発見されたひび割れの根本原因はまだ不明である。
 この原発はアレヴァ・シーメンス(仏・独)の共同事業体が固定価格のターンキー契約(福島第一原発と同様の契約で、完成引き渡しまで一括契約方式)でオルキルオト3号機を建設している。この契約債務については、原発の保証期間が終了するまで連帯責任を負うことになっている。
 建設は2005年に開始され、当初2009年に原子炉は完成する予定だったが、計画出は様々な遅れや挫折があった。
 オルキルオト3号機は昨年12月21日に初臨界、3月12日に送電網併入、現在は試運転段階にある。9月下旬に初めて全出力運転に移行し、12月27日からの営業運転を予定している。
 TVOは「損傷の原因と修理方法が確認され次第、試運転のスケジュールを再構成する」としている。

−−− 現在、原因は現在不明とされている。
 気になるのは、「オルキルオト3号機用にサイズを大きくした」という点だ。
 これは福島第二原発3号機の再循環ポンプ損傷事故(1989年)で起きた共振現象を思い起こす。
 当時、110万キロワット原発は東海第二と福島第一6号機などいくつかが稼働していたが、まだ日本で作った改良標準型と呼ばれるBWR5は少なかった。
 この原発用に設計された再循環ポンプは実績がなかった。それが運転中に、ある特定の運転速度で稼働させた場合、ポンプ内の部品に共振現象を引き起こし、溶接部分に大きな力を加える結果になり運転中にポンプ内の羽根車上に脱落する重大な事故に発展した。
 サイズを変更するような場合は、シミュレーションをして異常な力は掛からないような設計をするはずだが、出力を変化させたりするような場合は、想定外の運転速度で長期間動かすような場合も出てくる。対策が甘ければ思わぬ破損事故になることは珍しくない。
 このオルキルオト3号機は、欧州加圧水型軽水炉EPRの4基のうちの一つ。うち、2基は中国の台山原発で、既に営業運転をしている。
 オルキルオト3号機は記事にあるとおり2009年運転開始予定が、様々なトラブルにより大きく遅れている。そのため費用は上昇している。
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