[2022_10_12_11]【書籍】紹介『原発漂流』(河北新報出版センター) 女川原発再稼働と河北新報の記事 もし女川・福島第一・東海第二が過酷事故を起こしていたら 本当に東日本壊滅だった 上岡直見〔環境経済研究所(技術士事務所)代表〕(たんぽぽ2022年10月12日)
 
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【書籍】紹介『原発漂流』(河北新報出版センター) 女川原発再稼働と河北新報の記事 もし女川・福島第一・東海第二が過酷事故を起こしていたら 本当に東日本壊滅だった 上岡直見〔環境経済研究所(技術士事務所)代表〕

 東京電力の福島第一原発が過酷事故を引き起こした一方で、東北電力の女川原発では破損個所があったものの過酷事故を免れたのは、設計者の先見の明で津波高さを予測して地盤を高くしていたためだとたびたび伝えられた。
 対照的に東京電力の怠慢を問う解釈もされるが、逆に原発はきちんと設計・運用さえすれば安全だと言わんばかりの解釈も流布されている。
 しかし真実は別のところにあるようだ。
 2020年9月から2021年4月まで宮城県の『河北新報』に連載された福島第一原発事故の検証記事「原発漂流」で驚くべき記事(2021年4月9日)が掲載されていた。
 女川3号機の着工前の1997年に、住民団体が津波に備えて原発専用港の水深に余裕を持たせるように再三要求し、東北電力は1997年〜1998年にかけて水深を約4m深くする浚渫(しゅんせつ)工事を行っていたことである。
 その結果、東日本大震災ではあと80センチという間一髪で津波による浸水を免れた。
 震災後に女川原発を視察した住民団体に対して、発電所長が「あなたたちのおかげで助かった」と感謝したという。
 しかし東北電力は「住民の意見を踏まえた工事ではない」と否定し当時の所長も説明を拒否している。
 東海第二原発も堤防のかさ上げ工事が行われた直後で間一髪だった。
 もし太平洋側の女川・福島・東海第二が連発で過酷事故を起こしていたら本当に東日本壊滅だった。
 こうした検証記事から、脱炭素を口実とした再稼働推進が進められる最新の状況に至るまでが本にまとめられ『原発漂流』(河北新報出版センター)として出版されている。
 地元ならではの情報も満載した内容で、人材も資金も限られた地方紙で、しかもコロナ禍の最中によくこれだけまとめたと思う。
 A5判 192頁 2021年07月21日発売 1,650円(税込)
※「原発漂流」の販売先等は コチラ
※2:河北新報社の東日本大震災特設サイトの「原発漂流」は コチラ
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