[2022_09_19_03]韓国、増える原発稼働…「高レベル放射性廃棄物」処理が急がれる(中央日報2022年9月19日)
 
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韓国、増える原発稼働…「高レベル放射性廃棄物」処理が急がれる

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権が原発政策を加速させ、高レベル放射性廃棄物の処理が懸案に浮上している。高レベル放射性廃棄物の飽和時点が近づいているからだ。炭素中立とエネルギー安全保障を守って未来世代の負担も減らすには、処分施設確保に必須の特別法制定が急がれるという声が高まっている。
 原発稼働時には使用済み核燃料など高レベル放射性廃棄物が必然的に出てくる。その処理が適切に行われてこそ、原発と国民の安全を担保できる。7月、欧州連合(EU)は原子力発電をグリーンタクソノミー(分類体系)に含め、2050年までに高レベル放射性廃棄物処分のための細部案を用意するよう但書を付けた。韓国国内でも原発を含む新しいK−タクソノミー案が出てくる予定だ。
 放射性物質の少ない低中レベル放射性廃棄物処分施設は慶州(キョンジュ)にある。しかし1万8000トンも発生している高レベル放射性廃棄物はまだ処分の敷地を確保できず、原発内の施設に保管中だ。2031年には古里(コリ)・ハンビッ原発をはじめ、次々と飽和状態を迎える。原発の運営が増えればこの時期が前倒しになる可能性が高い。フィンランドやスウェーデンなど欧州国家は1980−90年代から敷地を選定し、処分施設の運営が可視化した。
 原発業界の関係者は「現行法上、原発敷地内の一時的な乾式貯蔵も難しい。このままでは廃棄物のために原発を閉鎖しなければいけない」と述べた。
 現在の放射性廃棄物管理法とは別に、処理場敷地選定手続きや該当地域への支援などを具体化した高レベル廃物特別法の制定が進められている。先月末、李仁善(イ・インソン)国民の力議員が代表発議した「高レベル廃棄物特別法案」をはじめ関連法案3件が国会に上程されている。
 特別法に含まれる内容は▼早期の処理場確保と廃棄物搬出時点の明示▼選定地域の大規模支援▼原発内貯蔵時の意見聴取強化▼専門担当委員会の設置など。敷地確保手続きは調査や住民投票などを含めて約13年かかると予想される。その後に中間貯蔵、最終処分施設などを用意する形だ。
 政府は李仁善議員案などが定期国会で議論されれば速やかに通過するように支援する計画だ。産業通商資源部の関係者は「法案の議論が遅れるほど持続可能な原発利用に困難が生じるしかない」と明らかにした。処理場運営に必須の研究・開発(R&D)ロードマップを年内に確定するなど、技術力の確保にも拍車を加えている。
 学界も法の制定を促した。6日に記者会見をしたKAIST(韓国科学技術院)のユン・ジョンイル原子力・量子工学教授は「高レベル放射性廃棄物貯蔵施設で事故が発生したケースは世界的に1件もない。敷地さえ確保されれば安全な運営が可能であるだけに、政権に関係なく安定的に推進される特別法が用意されるべきだ」と述べた。
 安定した地盤の深いところに処理場を置けば放射線漏出の危険は事実上ないが、十分な住民説得と同意が必須となる。産業部の関係者は「敷地選定が最も重要だが、全国民のために負担を負う誘致地域の住民を支援する案が多く盛り込まれるだろう」と話した。李議員案にも特別支援金、地域発展事業、地域住民優先雇用のような支援策が盛り込まれた。
 昨年の第2次高レベル放射性廃棄物管理基本計画によると、敷地選定手続きの着手から永久処分施設の確保まで37年ほどかかる見込みだ。具体的な目標時点は特別法制定後に基本計画で扱われる可能性が高い。
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