[2022_09_14_03]柏崎刈羽原発の運転禁止命令、解除要件を公表 原子力規制委(毎日新聞2022年9月14日)
 
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柏崎刈羽原発の運転禁止命令、解除要件を公表 原子力規制委

 相次ぐテロ対策の不備で原子力規制委員会から事実上の運転禁止命令を受けている東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)について、規制委は14日の定例会合で、命令解除に最低限必要となる要件33項目を公表した。設備などハード面の整備と、社員の業務改善などソフト面の対策に加え、改善策を一過性のものとしないことも要件に加えた。解除の判断時期は未定で、規制委は今後も検査を続ける。
 ハード面では、生体認証装置など出入り管理システムの設置や、設備機能の損失時に速やかに復旧するための予備品が確保されていることなどの対策を求めた。ソフト面では、テロ対策などに関する「核物質防護」業務の全体について定期的に経営層による内部監査を含む見直しが実施されていることなどを示した。
 また、過去の事故やトラブルごとに東電が再発防止策を講じてきたにもかかわらず今回の問題が起きたことを踏まえ、意識や行動に劣化の兆しがあれば早急に対応する仕組みをつくることも要件とし、核物質防護規定への明記を求めた。
 一方、東電自身が昨年9月に示したテロ対策の規定見直しや教育の強化など36項目の改善策については、全て実施段階に入っていると確認した。会合後の記者会見で更田豊志(ふけたとよし)委員長は、今回示した解除要件への東電の対応について「今年度内か年度をまたぐぐらいまでに東電から報告書が来ると期待している」と述べた。報告書が出れば規制委が命令を解除するかどうか議論し、判断が下されることになる。
 柏崎刈羽原発では2021年、敷地内への侵入を検知する機器が16カ所で故障し、うち10カ所で代替措置がずさんだったことや、運転員が同僚のIDカードを使って中央制御室へ不正侵入したことなどの問題が発覚。規制委は同年4月、原子炉等規制法に基づき燃料の移動を禁止する命令を出し、再稼働に向けた手続きは凍結状態となっている。
 政府は8月、脱炭素社会への移行に向けた政策を検討する「グリーントランスフォーメーション(GX)実行会議」で、既に安全審査に合格している原発7基の来夏以降の再稼働を目指す方針を示している。だが、うち2基は柏崎刈羽原発6、7号機で、避難計画策定の難航している日本原子力発電東海第2原発(茨城県)も含め、再稼働の見通しが立っていない原発が複数ある。【土谷純一】
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