[2022_08_26_03]岸田政権「原発新増設」へ大転換の無謀…安全保障リスク高まり防衛費ますます青天井(ゲンダイ2022年8月26日)
 
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岸田政権「原発新増設」へ大転換の無謀…安全保障リスク高まり防衛費ますます青天井

 岸田首相が「検討を加速して欲しい」と呼び掛けた原発の新増設やリプレース(建て替え)。東京電力福島第1原発事故以降、政府が堅持してきた「(新増設・建て替えは)想定していない」との立場を大転換した格好だが、問題は原発の安全性や建設コストだけではない。
 原発は1基当たり、建設費が少なくとも1兆円超、追加の安全対策工事費だけでも数千億円かかるといわれる。新増設は数兆円単位のコストがかさむ上、武力攻撃やテロの標的になり得るリスクを新たに背負い込むのと同じ。実際、自治体からは国に対し、原発へのミサイル攻撃に対する防衛など、「万が一の場合に備えて欲しい」との声が上がっている。
 全国知事会の原発対策特別委員会委員長を務める島根県の丸山知事は今月19日、西村経産相に原発の安全対策に関する要望書を提出。ロシアによるウクライナ原発への武力攻撃を念頭に、日本でも原発が標的となった場合に備え、自衛隊の迎撃態勢を万全にして欲しいなどと訴えた。
「現在の自衛隊のミサイル防衛では、想定敵国から大量のミサイルを同時に撃ち込まれた場合、全てを迎撃することは困難です。そもそも日本は建設中や廃炉を含め原発を60基も抱えており、安全保障の観点から見て極めて脆弱。ミサイル攻撃を受けたら最後、反撃できる国土環境ではないのです。原発が他国からの攻撃対象になり得るにもかかわらず、新増設の検討に乗り出すとは、国防を無視した議論と言わざるを得ません」(軍事評論家・前田哲男氏)

■防衛省予算の概算要求は過去最高

 台湾有事に備える名目で防衛予算の増額圧力が強まる中、防衛省の来年度予算の概算要求は過去最高の5兆5947億円。抑止力強化の一環として、現在改良中の対艦誘導弾を将来的に1000発以上保有することを検討している。
 「新たな原発が列島に増えれば、安全保障リスクは高まります。防衛費はますます青天井にならざるを得ないでしょう」(前田哲男氏)
 防衛力強化の財源に関し、政府・与党内では増税や社会保障費の削減もやむを得ないとの声が上がっているという。ツケを払わされる国民は、たまったもんじゃない。
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