[2022_07_20_06]冷却機能喪失「操作弁誤認」と推定/原燃報告(東奥日報2022年7月20日)
 
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冷却機能喪失「操作弁誤認」と推定/原燃報告

 日本原燃は19日、六ケ所再処理工場(青森県六ケ所村)で高レベル放射性廃液タンクの冷却機能が一時喪失したトラブルを巡り、原因と再発防止策を原子力規制委員会、県、村に報告した。誤操作の事実は調査で確認されなかったものの、本来開けたままにしておく冷却設備の弁を作業員が誤って閉じた可能性があると推定。弁を識別する表示が不十分だったことや、当時、弁の操作を指示した監督者の口頭での説明が正しく伝わらなかったことなどが複合的な要因となったと結論付けた。
 トラブルは2日に発生。水を循環させて廃液を冷やす設備の手動弁が閉じられ、約8時間にわたって廃液タンクの冷却機能が喪失した。冷却設備はA、Bの2系列あるが、A系列は6月19日から追加の安全対策工事のため停止中だった。
 原燃の説明によると2日午後、施工会社の工事監督者が、配管溶接の準備作業をしていた作業員にA系列の弁2カ所を閉めるよう電話で指示、弁がある配管の番号を伝えた。作業員はその後の調査に、電話で聞いた「弁番号」に従って弁を閉じ、B系列は操作していないと答えており、両者の認識には食い違いが生じているという。作業員が操作したA系列の2カ所は工事で新設した弁だった。
 冷却機能を維持しているB系列の弁は操作が当直員に限られていたが、誰でも操作可能な状況下にあった。また、両系列の弁の操作ハンドルは同じ部屋の近い場所にあり、形状が同じで判別が難しいにもかかわらず、系列や開閉状態を示す表示はなかった。周辺が暗く狭いため、配管や弁の番号を確認しにくい環境でもあったという。
 原燃は、対策の不備など複数の要因が結果的に弁の誤認につながったと推定した。県庁で調査結果を説明した小林章夫報道部長は「皆さまにご心配をおかけし、おわび申し上げます」と陳謝した。
 再発防止策として、弁に開閉状態や番号を記したプレートを付け、操作しない弁は固縛して施錠することとした。トラブルが発生した高レベル廃液ガラス固化建屋にある約540カ所で月内に対策を講じる。
 また、冷却設備を1系列で運転する場合は、制御室での確認の頻度を4時間ごとから1時間ごとに増やし、速やかに異常を発見できるよう体制を強化。弁を操作する作業は、口頭ではなく文書で明確に指示するとした。原子力検査官への連絡方法も見直した。
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