[2022_05_30_01]日本原燃・六ケ所再処理工場 「9月完工」延期不回避 26回目の先送りか 安全工事の認可めど立たず(東奥日報2022年5月30日)
 
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日本原燃・六ケ所再処理工場 「9月完工」延期不回避 26回目の先送りか 安全工事の認可めど立たず

 日本原燃が目指す六ケ所再処理工場の本年度上期(9月末まで)の完工は延期が避けられない見通しだ。安全対策工事などの詳細設計に当たる「設計・工事計画の認可(設工認)」に時間を要しているため。設工認審査の対応を巡る原燃の不手際もあり、残り4カ月で安全対策工事、検査、確認と一連の手続きを終えることはもはや不可能となっている。
 「まだ1回目の設工認をやっている状態ですから、現実的でないのはその通り」。原子力規制委員会の更田豊志委員長は25日の会見で、9月までの完工は困難との認識を示した。審査は1年以上をかけ、ようやく技術的な議論を終えたものの、申請するべき設備の明確化などの作業が追いついていない。
 原発数基分に相当する数の設備・機器がある再処理工場は、設工認の対象がおよそ4万点に上り、当初から原燃や規制関係者の間で「簡単ではない」とされてきた。
 原燃は、効率的に審査を進めようと設工認を3分割、2020年12月に申請した初回分は冷却塔のみを対象とした。初回分の認可に向けては、補正書を出して申請書の内容を補足、修正する必要がある。提出は早くても6月とみられるが、補正が1度で終わらずに再提出となれば月単位での遅れに直結する。
 初回の設工認が足踏みしている一因に、原燃側の対応力不足があることは否めない。
 4月下旬、原燃で設工認を担当する役員6人が原子力規制庁から注意を受けた。役員は資料の取りまとめが内部で終わっていないにもかかわらず「全て終了したので提出する」と規制庁に連絡、実際には資料の確認さえしていなかった。
 「検討不足」「コメントの趣旨を理解していない」などと何度も厳しく指摘されてきた原燃は、設工認の対応強化策の一環として、責任者に役員クラスを配置した。論点の把握から資料のチェックまで役員が責任を持って対応すると説明していたが、機能していないことが露呈した。
 3月にも同様の事例があったといい、規制庁幹部は「危機感や責任感が感じられない。品質管理システムの観点からも問題だ」と原燃の管理体制を疑問視する。資料の完成は遅れ、原燃は5月の審査会合を見送った。
 2回目以降の設工認には、主要建屋の重大事故対策設備を含め数万点が盛り込まれる。原燃は、種類ごとに類型化し、代表的なものを審査してもらうことで時間短縮につなげる方針だが、類型化の作業でつまずけば手戻りになりかねない。膨大な量の工事、原燃自らによる使用前の検査、規制委の確認も控え、このままのペースでは「数年かかる」(規制庁幹部)との見立てもある。
 9月の完工目標が迫る中、増田尚宏社長は「初回の認可後に全体の工程を示す」と繰り返すものの、認可のめどは一向に立たない。26回目の延期が視野に入り、地元関係者は「いつになったら再処理工場は稼働するのか」と懸念を口にした。
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