[2022_05_07_02]上関原発計画の進め方がいかに強引で非合理的か 見通しの立たない上関原発計画、なぜ計画は見直されない? 上里恵子著『上関原発計画はどんな姿をしているか−中国電力・山口県・国の手続き文書から読み解く−』のご紹介 中村泰子(たんぽぽ舎ボランティア)(たんぽぽ舎2022年5月7日)
 
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上関原発計画の進め方がいかに強引で非合理的か 見通しの立たない上関原発計画、なぜ計画は見直されない? 上里恵子著『上関原発計画はどんな姿をしているか−中国電力・山口県・国の手続き文書から読み解く−』のご紹介 中村泰子(たんぽぽ舎ボランティア)

 ◎本書は、上関原発計画の進め方がいかに強引で非合理的か、そして計画地の地質・地盤がいかに“病んでいる”かについて、中国電力・山口県・国の提出した手続き文書をもとに解説し、これからどうするべきかについての重要な提言がなされています。
 ◎上関原発計画は、山口県上関町の長島の入り江を埋め立てて敷地造成し、原発2基を設置するというものです。
 当初から用地取得、漁業補償、環境影響評価、地元同意などの問題を抱えたまま、2001年に見切り発車的に動き出し、2005年に「重要電源開発地点の指定」を受けました。2008年山口県知事が中電に公有水面埋立免許を交付し、現在にいたるまで埋立免許延長が繰り返されています(現在の免許期限は2023年1月6日)。
 ◎中国電力は埋立免許取得後、2009年に上関原発1号機の設置許可申請を行いました。上里さんは、設置許可もない中で、地盤の吟味もない中で、埋立が先行するのはおかしいと指摘しています。
 2011年の福島第一原発事故後、審査体制が原子力安全・保安院から原子力規制委員会に変わりました。中国電力からの新規制基準に沿った再申請は、地盤が悪すぎてか、出ておらず、審査は宙ぶらりん状態のようです。
 ◎このように中身はボロボロで、見通しの立たない上関原発計画ですが、なぜ計画は見直されないのでしょうか?
 上里さんは、「重要電源開発地点の指定」による交付金との関連を述べています。上関原発計画は「重要電源開発地点」に指定されているので、山口県と上関町には、指定された日から原発運転開始の日まで交付金(電源立地地域対策交付金や原子力発電施設等立地地域特別交付金など)が支給され続けます。
 国は、このような手口で立地予定自治体を懐柔しているのだと知りました。とても読み応えのある冊子です。
 上里さんの「計画を必ず止める」という強い思いが伝わってきます。
 ご一読をお薦めします。

※中村付記:第6次エネルギー基本計画で原発の新増設は明記こそされなかったですが、国は何があろうと原発建設ありきなのでしょう。
 すべての原発予定地は「重要電源開発地点指定制度」の対象です。
 現在申請を受けて国が指定を行った建設中(大間、東電の東通1、島根3)、計画中(敦賀3・4、上関1・2、川内3)の原発立地地域へは、運転開始するまで交付金がおりるのだと思います。
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