[2022_05_07_01]川内原発の運転延長 反対50%賛成47% 賛否が接近 ブラックアウト懸念、原油価格高騰…国内外の動き影響か 鹿児島県民世論調査(南日本新聞2022年5月7日)
 
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川内原発の運転延長 反対50%賛成47% 賛否が接近 ブラックアウト懸念、原油価格高騰…国内外の動き影響か 鹿児島県民世論調査

 南日本新聞社が4月に実施した電話世論調査によると、原則40年の運転期限が迫る九州電力川内原発(薩摩川内市)の運転延長について、反対の回答は50.4%(前回比9.3ポイント減)で、賛成の47.5%(12ポイント増)を2.9ポイント上回った。毎春調査しており、3回目となる今回の賛否が最も接近した。延長反対の理由は「できるだけ早く再生可能エネルギーに移行するべき」(42.8%)、賛成の理由は「再エネが普及するまで当面必要」(48.5%)が最多だった。
 昨年4月の調査は反対59.7%、賛成35.5%。一方、衆院選に伴い同様の質問をした同10月の調査結果では、賛成52.2%で反対38.5%を上回った。
 原発の運転期間は原則40年。川内原発は1号機が2024年7月、2号機が25年11月に40年を迎える。運転期限の1年前までに原子力規制委員会に申請し、認可されれば1回に限り最長20年延長できる。
 九電はこれまで運転延長を明言していないが、申請時に必要な「特別点検」を1号機で昨年10月、2号機で今年2月に始めた。テロ対策施設建設など安全対策にも巨費を投じており、申請は確実とみられる。
 今回の調査結果は、原発を巡る国内外の動きも影響したとみられる。3月中旬、宮城、福島両県で最大震度6強の地震が発生。火力発電所が被災し、東京電力と東北電力管内で電力需給逼迫(ひっぱく)警報が発令され、ブラックアウト(全域停電)が懸念された。
 原油価格高騰やウクライナ情勢を受け、欧州などでエネルギーのロシア依存を脱却するため原発回帰の動きが出ている。一方、チェルノブイリ原発などが軍事攻撃の対象となったことで、原発の「危険性」が改めて浮き彫りになった。
 運転延長の賛否は「賛成」15.8%、「どちらかといえば賛成」31.7%。「どちかといえば反対」26.3%、「反対」24.1%だった。「分からない・無回答」2.2%。賛否の判断は二分している。
 反対の理由は、再エネへの移行に続き、「延長は安全性に疑問」26.4%、「原発は廃止するべき」18.1%、「原発がなくても電力供給は足りている」9.1%だった。賛成の理由は、再エネ普及まで当面必要の次に、「電力供給量が不足する」24.6%、「地域の活性化維持に必要」18.1%の順だった。
 年代別では29歳以下〜40代で賛成が過半数を占めた一方、50代〜70歳以上は反対が多かった。男女別では59.4%の男性が賛成と答え、女性は59.7%が反対。世代間、男女間で賛否が割れた。川内原発30キロ圏内の回答者は、賛否は同率の49.2%。圏外は反対51.9%、賛成45.2%だった。

▼調査の方法▼

 鹿児島県内の有権者(18歳以上)を対象に、4月14〜17日、コンピューターで無作為に発生させた番号に電話をかけるRDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)法で実施した。実際に有権者がいる世帯にかかったのは1269件。うち1025人から回答を得た。
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