[2022_04_05_04]「絶対反対はいささかも変わらない」全漁連会長 福島第一原発の処理水海洋放出で経産相と面会(東京新聞2022年4月5日)
 
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「絶対反対はいささかも変わらない」全漁連会長 福島第一原発の処理水海洋放出で経産相と面会

 東京電力福島第一原発(福島県大熊町、双葉町)の汚染水を浄化処理した水の海洋放出を巡り、萩生田光一経済産業相は5日、東京都中央区の全国漁業協同組合連合会(全漁連)を訪れ、岸宏会長らと面会した。政府と東電は2023年春ごろからの処理水放出を目指しているが、全漁連は「断固反対」の立場を繰り返し表明。この日、面会後の取材に岸会長は「絶対反対であることにはいささかも変わりありません」と断言した。
 政府が昨年4月に処理水の海洋放出処分を決めてから、経産相が全漁連を訪れて説明するの初めて。この方針決定時に全漁連は、国民への説明、漁業者への経営継続策、処理水の継続保管の検討など5項目を申し入れていた。この日、萩生田氏は回答書を岸会長に手渡した。
 萩生田経産相と岸会長が互いにあいさつした冒頭部分のみ、報道陣の代表者に公開された。やりとりは以下の通り。(小川慎一、小野沢健太)

◆萩生田経産相「風評影響に最後まで全責任をもって対策」

 萩生田経産相「昨年4月に、ALPS処理水の基本方針を決定して以降、漁業者の皆さまにはALPS処理水の処分の安全性や風評影響について、心配をおかけしていることについて、お詫びを申し上げたいと思います。また特に沿岸県の漁連の皆様には、反対の中でもたびたび説明、意見交換の機会を頂いていることに改めて感謝を申し上げたいと思います。昨年4月に全漁連から全国の漁業者の不安を払拭するため、政府に対応を求める多くの申し入れを頂きました。本日は政府を代表し、これに対する政府の基本的な考えをお伝えいたします。
 まず政府は処分に伴う風評影響について、最後まで全責任をもって対策を講じて参ります。東京電力に対して、信頼回復に努めるよう指導を徹底してまいります。また福島県漁連に示した漁業者を含む関係者への丁寧な説明等、必要な取り組みを行うこととしており、こうしたプロセスや関係者の理解なしにはいかなる処分も行いません、との回答は今後も遵守します。改めて全国の漁業関係者を含む関係者の皆様に説明を重ね、理解を得て参りたいと思います。さらに、福島や近隣被災県をはじめ、全国の漁業者が将来にわたり安心して漁業を継続できるようにするため、超大型の基金を創設するとともに、政府一丸となって様々な対策を講ずることにより、たとえ今後数十年の長期にわたろうとも、必要な対策を講じてまいりたいと思います。
 今後とも漁業関係者の皆様とは、徹底的に対話を重ね、そこでのご指摘もふまえ、皆様に納得いただけるよう、必要な対策に取り組んでいきます。ALPS処理水の安全性や、基本方針決定の背景等についての理解を深めていただくことや、皆様の要望に応え必要な対策を機動的に講じることを通じて、漁業者の皆様に安心していただくよう、しっかり取り組みを進めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします」

◆岸会長「将来にわたり安心して漁業が継続できるようにして」

 岸全漁連会長「回答の内容については精査が必要であるが、第1点として本問題に政府が全責任を持って対処するということ。それから二つ目は改めて全国の漁業関係者の理解なしには、いかなる処分も行わないこと、さらには第3点には、全国の漁業者が子々孫々にわたって安心して漁業を続けることが可能となるよう長期的な視野に立った超大型の基金を創設するとともに、必要となるさまざまな対策を講じ続けること。この3点は政府の姿勢が示されたものとして受け止めている。
 しかしながら、われわれJFグループ(全漁連)は国民の皆さま、また全国の漁業者の理解を得られないALPS処理水の海洋放出には絶対に断固反対だとそのことは、いささかも変わることはないわけだ。
 われわれは全国の漁業者が将来にわたって安心して漁業が継続できるようにしてもらいたい。それだけだ。政府におかれては今回の回答を踏まえ、国民の皆さま、また全国の漁業関係者への丁寧かつ真摯な説明を継続されるとともに、実効性も持った具体策を示していただくことを求めたものだ。以上だ」
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