[2022_03_25_03]世界終末時計で有名な『原子力科学者会報』によると チェルノブイリ原発の立ち入り禁止区域で森林火災が発生 放射性物質の拡散はコントロール不能と見られる 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)(たんぽぽ2022年3月25日) |
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チェルノブイリ原発の立ち入り禁止区域、事故時に大量の放射性物質が蓄積した「赤い森」など、汚染土壌と森林が広がる広大な区域で、火災が多発しています。 そのうえロシア軍が、敷地内にある「研究所」を破壊しているとも報告されています。 極めて憂慮すべきことですが、拡散する放射性物質は、現状の風向だとキエフなどウクライナ国内に向かって流れています。 一番近い地点はベラルーシのブラギンスキーという地点、チェルノブイリ原発の北側ですが、24日午前8時のデータは490ナノシーベルト毎時(年間で4.3ミリシーベルト)です。 以下の文章は、世界終末時計で有名な原子力科学者会報(Bulletin of the Atomic Scientists) のWeb版のニュースから一部を翻訳しました。 放射能監視システムが機能しない中、チェルノブイリで山火事が発生 スーザン・ダゴスティーノ 2022年3月23日 ◎ウクライナ議会の声明によれば、世界最悪の原子力災害が発生したチェルノブイリ原発周辺の立ち入り禁止区域で、7件の山火事が発生している。 衛星で観測された火災は、ウクライナの災害危険度分類の10倍を超えた。 ウクライナの当局者は、火災が「ロシア連邦の武力攻撃、すなわち砲撃や放火」によって引き起こされたと述べたが、これは独自に検証はされていない。 山火事は、1986年のチェルノブイリでの原子力事故で残留した放射性物質を移動させ、拡散させる危険がある。 ◎ウクライナの消防士は、戦争の最初の日にロシアが制圧して以来、この地域に入ることができない。 ウクライナの国営原子力会社であるエネルゴアトムは今週、チェルノブイリの放射線監視システムがもはや機能していないと報告した。 システムが提供するデータがなければ、その地域の放射線レベルは野放しになる恐れがある。チェルノブイリ原子力発電所は運転を停止しているが、常時管理は欠かせない。 ◎ウクライナの立ち入り禁止区域の管理に関する政府機関(訳注:環境・天然資源省立入禁止区域管理庁)も今週、ロシア軍が600万ユーロ(訳注:8億円あまり)をかけて建設した研究所を破壊したと報告している。 その研究所では、放射性廃棄物管理の改善に取り組んでいたと、AP通信が報じている。研究所には、放出された可能性のある「高放射性のサンプルと放射性物質のサンプル」が含まれていたという。 ◎季節的な森林火事は、チェルノブイリ周辺地域で春と夏によく見られる。 2020年4月に発生した火事では、100台以上の消防車が消火活動に必要だった。それでも8,600エーカー(訳注:約35平方キロメートル)以上が焼失した。 この火災の発生を受けてチェルノブイリの管理チームは、事前に消火設備をこの地域に移動させるなど、リスクを軽減するための早期介入策を導入していた。 また、近隣住民や従業員への防火教育も実施した。 これらの努力により、2021年の火災シーズンを抑えることができたと、チェルノブイリの国際協力・広報部長であるカテリーナ・パブロワは同誌に語った。 「私たちは昨年、大火災を防ぐために立ち入り禁止地区を作ったが、今年はその反対だ」とパブロワ氏は言った。「我々には備えがない」今年3月に山火事が発生したが、過去には2020年の大規模な山火事を含めて、このような山火事は4月から発生すると彼女は付け加えた。【後略】 原文は以下のところにあります。 https://thebulletin.org/2022/03/wildfires-break-out-in-chernobyl-amid-a-non-functioning-radiation-monitoring-system/ |
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