[2022_03_22_06]日本海溝・千島海溝地震で防災報告書 国などに住民の備え確認促す(毎日新聞2022年3月22日)
 
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日本海溝・千島海溝地震で防災報告書 国などに住民の備え確認促す

 日本海溝沿いと千島海溝沿いで起きる二つの巨大地震を巡り、政府の中央防災会議の作業部会は22日、防災対策に関する報告書を公表した。積雪や寒さで避難が遅れたり、体調が崩れたりしないよう対策を求め、マグニチュード(M)7以上の地震が起きた場合、より大きな地震に備えて国や自治体が住民らに日ごろからの備えの再確認を呼びかけるよう提言した。政府はこの内容を踏まえ、防災対策の見直しを進める。
 二つの巨大地震は最悪の場合、日本海溝地震が約19万9000人、千島海溝地震は約10万人の死者が出ると想定され、報告書は人的・物的被害を最小限度に抑えるための方策を提言した。
 具体的には、冬は積雪や路面の凍結で避難に時間がかかり、低体温症になるリスクもあると指摘。屋根で風雪をしのげる避難路や津波避難タワーを整備し、避難先には防寒具や暖房器具を備えておく必要があるとした。人口が少ない地域では自動車を用いた避難を、避難が難しい地域では高台への集団移転を検討するよう促した。
 二つの巨大地震の想定震源域とされる三陸沖から根室沖にかけてとその周辺でM7以上の地震が起きた場合、水や食料の備蓄や家具の固定をしているかや避難場所を確認するよう促す必要があるとした。
 2018年の北海道胆振(いぶり)東部地震で道内全域が停電した「ブラックアウト」を踏まえ、国と電力事業者には供給網の切り替えなどの対策を求めた。
 今月16日に宮城、福島両県で最大震度6強を観測した地震は、震源が福島県沖で、二つの巨大地震の想定震源域には該当しない。
 内閣府が21年12月に公表した二つの巨大地震の被害想定では、千葉県以北の太平洋側を中心に最大震度7の揺れと最大約30メートルの津波が発生するとされている。【井口慎太郎】
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