[2022_03_19_02]原発攻撃のロシア軍、核知識なし ウクライナ運営企業トップ(新潟日報2022年3月19日)
 
参照元
原発攻撃のロシア軍、核知識なし ウクライナ運営企業トップ

 ウクライナの原子力企業エネルゴアトムのトップ、ペトロ・コティン総裁代理は19日までに共同通信のオンラインのインタビューに応じ、南部ザポロジエ原発を制圧したロシア軍は「砲撃の危険性に対する知識が全くなかった」と明らかにした。使用済み核燃料の貯蔵施設が被弾すれば放射性物質が拡散しかねない深刻な状況だったと指摘。国内全ての原発周辺30キロに軍の侵入を禁じる安全地帯を設定するよう国際社会に協力を訴えた。
 コティン氏が日本メディアに欧州最大級の同原発の詳しい状況を明らかにするのは初めて。日本政府のウクライナへの支持を感じていると表明、原子力関連機器や通信機器を提供してもらえるとありがたいと話した。
 コティン氏によると、原発の敷地内には約500人のロシア兵や約50台の軍用車両が居座っており、制圧後に派遣されてきたロシア国営原子力企業ロスアトムの技術者らがいる。同氏は、ウクライナ人職員らが「心理的に厳しい状況」に置かれているとし、安全性の確保に懸念を示した。
 職員の家族らが住む近くの町にも千人ほどのロシア兵がおり、パトロールと称して車を止め、窓を割ったり運転手を殴ったりして「怖がらせている」という。
 ロシア軍が原発を占拠した理由については、重要インフラを管理下に置く狙いのほか、原発にとどまっていれば、ウクライナ軍から攻撃を受けずに済むことなどを挙げた。
 ロシア軍が侵攻直後に制圧した北部チェルノブイリ原発では、砲撃などで、1986年の事故時に降り注いだ放射性物質が土壌からほこりと一緒に舞い上がり、局所的に放射線量が上昇したという。国内全域では、国際的に懸念されるような数値の上昇は今のところ起きていないと説明した。
 エネルゴアトムはウクライナで稼働する4原発すべてを運営する国営企業。
KEY_WORD:ウクライナ_原発_: