[2022_03_17_86]「老朽原発このまま廃炉!」「関西、若狭での闘いと今後」 木原壯林氏の86コマ資料をご紹介します 2/26たんぽぽ舎「記念講演」講師資料の紹介【その1】 たんぽぽ舎(たんぽぽ2022年3月17日)
 
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「老朽原発このまま廃炉!」「関西、若狭での闘いと今後」 木原壯林氏の86コマ資料をご紹介します 2/26たんぽぽ舎「記念講演」講師資料の紹介【その1】 たんぽぽ舎

 2月26日(土)、日本教育会館8Fで開催されたたんぽぽ舎33周年記念講演の講師資料を連載でご紹介します。
 まず、木原壯林氏(若狭の原発を考える会.老朽原発うごかすな!実行委員会)の資料です。

 1コマ目には、以下のことばが記されています。

≪ラジウムは知を豊富にし、善に役立ちました。が、それは悪にも役立ちはしないだろうか。…人間は自然の秘密を知ってはたして得をするであろうか。その秘密を利用するほど人間は成熟しているだろうか、それともこの知識は彼に有害なのではないか、ということが考えられます。≫

 ラジウムの共同発見者・ピエール・キューリーのノーベル賞受賞講演(1905年6月6日)

【1】「原発はなぜ危険か」
・はじめに
 原発は現在科学技術で制御できない

◎東電福島第一原発事故から11年近くになりますが、この事故は、原発が重大事故を起こせば、職場を奪い、農地を奪い、海を奪い、学校を奪い、生活基盤を根底から奪い去ることを、大きな犠牲の上に教えました。

◎原発が重大事故を起こせば、放出された放射性物質が風や海流に乗って運ばれ、被害は広域におよびます。
 福島第一原発事故では、事故炉から50km離れた飯舘村も全村避難になり、200km以上離れた関東でも高放射線地域が見つかっています。

◎原発事故の被害は長期におよびます。
 福島第一原発事故で避難された方の多くは今でも、避難先で苦難の生活を送っておられます。
 事故を起こした原子炉の内部の様子は、高放射線のため、ごく一部しか分からず、溶け落ちた核燃料の取り出しの目途も立っていません。
 汚染された土壌の除染法はなく、ごく表層をはぎ取ってフレコンバックに保存する他はありません。
 東電と政府は、この汚染土壌の全国での「再利用」を画策しています。
 トリチウムだけでなく、除去されなかった放射性物質を含む大量の汚染水が溜り続け、太平洋に垂れ流されようとしています。
 原発は現在科学技術で制御できる装置でないことは明らかです。
 その原発が老朽化すれば、危険度が急増することは多くが指摘するところです。

【2】「原発の老朽化」
・原発は、老朽化すると、重大事故の確率が急増する

◎高温、高圧下で高放射線(とくに中性子)に長年さらされた圧力容器の脆化(ぜいか;もろくなること)。

 圧力容器は、交換することが出来ないので、その脆化は深刻。
 金属疲労、応力腐食割れなどの腐食、流水中の懸濁物などでの削剥(さくはく:エロージョン)などによる配管の減肉(減肉:配管の厚みの減少)、損傷。
 とくに、高温、高圧水が流れる一次系配管の破損は深刻な事態を招く。
 建設時には適当とされたが、現在の基準では不適当と考えられる部分は多数あるが、全てが見直され、改善されているとは言えない。
 例えば、地震の大きさを過小評価していた時代に作られた構造物、配管の中で交換不可能なもの(圧力容器など)。
 建設当時の記録が散逸している可能性があり、メンテナンスに支障となる。

【3】「若狭の原発の特徴と危険性」
・PWR(加圧水型)がBWR(沸騰水型)より安全とは言えない 若狭の原発は敦賀1号機(廃炉)以外すべて加圧水型

◎加圧水型が危険な理由
 PWRの炉内圧力は約160気圧で、BWRの約70気圧の倍以上。
 配管が破断したとき、噴出する冷却水の勢いは格段に大きい。

◎出力密度がBWRの約2倍であり、それだけPWRの方が炉心溶融しやすい。

◎事故発生から炉心溶融まで、PWRでは1時間程度(米国スリーマイル島原発事故の例)、BWRでは5〜12時間(福島第一原発事故の例)。

◎PWRの方が中性子照射量が多いため、材料の照射劣化が進行しやすく、原子炉容器の破裂事故(最悪の事故)を招きやすい。原発老朽化は大問題。

◎PWRでは、格納容器内でも水素爆発が起こる。BWRは窒素を充填しているため、格納容器内では水素爆発は起こらない(福島第一原発事故での水素爆発は格納容器外=原子炉建屋)。
                    【その2】に続く
KEY_WORD:ウクライナ_原発_:FUKU1_:廃炉_:汚染水_: