[2022_03_16_06]チェルノブイリ原発の外部電源が復旧 しかし直後にまた遮断し、再度復旧と不安定 ザポリージャ原発で爆発があったと報告 チェルノブイリ原発では交代できない職員が苦闘 3/13【IAEA第20報】と3/14【第21報】 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)(たんぽぽ2022年3月16日)
 
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チェルノブイリ原発の外部電源が復旧 しかし直後にまた遮断し、再度復旧と不安定 ザポリージャ原発で爆発があったと報告 チェルノブイリ原発では交代できない職員が苦闘 3/13【IAEA第20報】と3/14【第21報】 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)

 【IAEA第20報】(2022/3/13)と【IAEA第21報】(2022/3/14)については、大きな状況の変化がないため、まとめて抄訳として紹介します。

「1」【IAEA第20報】(2022/3/13)

◎ ウクライナ当局は3月13日、ウクライナの専門家チームがチェルノブイリ原発を送電網に接続している損傷した2本の電力線のうちの1本を修理したと、グロッシ事務局長は述べた。
 ウクライナの原子力会社エネルゴアトムのペトロ・コティン社長から、損傷した2つの送電線のうちの1つを修理し、すべての外部電源を供給できるようになったとの知らせを受けた。

◎ 一方で、ウクライナの規制当局は、チェルノブイリ原発の職員が、3週間近く休みなく働いた後であり肉体的、精神的疲労が蓄積していることから安全関連機器の修理と保守を、もはや行っていないとIAEAに報告した。
 規制当局によると、211人の技術要員と警備員は、ロシア軍が侵攻する2月24日の前日から交代することができず、また、事故後に設置された立ち入り禁止区域の外にスタッフを移動させることについても、安全上の懸念を表明している。
 規制当局は、職員との直接の連絡は取れないが、敷地外にいる原発の管理者から情報を受け取っている。

◎ グロッシ事務局長は、施設の職員が直面している悲惨な状況は、施設からの通信関連の継続的な問題や、現在は解決されているものの電力供給問題と相まって、ウクライナの原発の安全とセキュリティを確保することを目的としたIAEAの取り組みをさらに差し迫ったものにすると述べた。
 IAEAは、今月初めの理事会で事務局長が示した原子力安全に不可欠な7つの柱に基づき、支援のための詳細な技術提案を作成している。
 原子力施設の物理的健全性、不当な圧力を受けずに意思決定を行うことができる運営スタッフ、外部電源の確保、および規制当局との信頼性の高い意思疎通を含め、こうした重要な要素が2月24日に始まった戦闘で、危険にさらされたり、困難に直面したりしている。

◎ また、ウクライナの規制当局は本日、事故で汚染されたチェルノブイリ原発の立ち入り禁止区域において自然火災が頻繁に発生する毎年恒例の「火災シーズン」に先立ち、同区域の状況を綿密に監視しているとIAEAに報告した。
 規制当局はまた、IAEAに対し、ザポリージャ原発の訓練施設が3月4日に損傷を受けていたこともあり、同原発に対する独立した規制上の安全監視を現地で行うことはもはやできないと述べた。だが、7つの安全の柱の重要な要素である、現場と常に連絡が取れていた。

「2」【IAEA第21報】(2022/3/14)

◎ ウクライナの専門家チームがチェルノブイリ原発を送電網に接続している損傷した2本の電力線のうちの1本を修理した翌日、外部電力供給を再開するための取り組みは継続していると国際原子力機関(IAEA)に報告した、とラファエル・マリアノ・グロッシ事務局長は述べた。
 ディーゼル発電機は、3月9日に外部電源をすべて失って以来、予備電力を供給してきた。

◎ ウクライナは3月13日に同国の専門家らが送電線の1本を修理したほか、翌朝には同原発をウクライナの電力網に再接続すると発表した。
 しかし、ウクライナの電力系統運用者であるウクライナ電力公社は本日早く、送電線が完全に復旧する前に「占領軍」によって再び損傷を受けたと発表した。
 この日遅く、規制当局はIAEAに対し、13:10に外部電源は再度復旧し、チェルノブイリ原発の職員は原発を系統に再接続するための作業を再開したと述べた。
 また、現行のディーゼル燃料備蓄は3月15日の夕方まで持つ、と当局は述べた。

◎ この電力供給問題は、運転中の原発4基を含む、ウクライナのすべての原子力施設の安全とセキュリティを確保するためにIAEAが提案した枠組みに合意し、実施する緊急性を強調している、とグロッシ事務局長は述べた。
 IAEAは、ロシア軍がザポリージャ原発の現場で爆破を実施したとの報告を把握しており、ウクライナからの情報提供を求めている。 ロシア軍が現場を制圧した3月4日の事件を受けて、当局は以前、損傷した訓練センターや原発の他の場所で発見された不発弾を検出し、処分するための作業が進行中であることを当局に報告していた。
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