[2022_03_08_09]ロシア軍は南ウクライナ原発も制圧しようとしている 軍は徐々に原発に向けて迫っている チェルノブイリ原発の職員も疲労が蓄積との報道 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)(たんぽぽ2022年3月8日)
 
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ロシア軍は南ウクライナ原発も制圧しようとしている 軍は徐々に原発に向けて迫っている チェルノブイリ原発の職員も疲労が蓄積との報道 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)

 ◎南ウクライナ原発が攻撃対象に
 南ウクライナ原発には、旧ソ連製のVVER1000型が3基ある。
 ザポロジェ原発と同型だ。
 この原発にもロシア軍は迫っており、武力制圧される危険性が高まっている。
 プーチン大統領は、いち早くチェルノブイリ原発を制圧した理由について、この地に残されている放射性物質を使った「ダーティボム」を作ろうとしているとしているが、それを具体的に示す証拠は示していない。
 チェルノブイリ原発の汚染物をダーティボムに使えるかどうかは分からないが、一般的に武器として使用する意味があるとしたら、これは戦略兵器ではなく、一定の区域を放射能汚染することにより、接近が困難になる目的で使用されるか、あるいは放射線源の拡散によるパニックを誘発させるなどの目的である。ウクライナが対ロ戦略兵器として開発するとはおよそ考えられない。

◎戦略目標としての原発制圧

 原発はウクライナの電力の55%を賄っているが、これを押さえることでウクライナの継戦能力や一般市民のエネルギー源を断つことが考えられる。
 既にザポロジェ原発は制圧されてしまったが、今のところ電力供給は続いていると見られる。
 しかし南ウクライナ原発(稼働中2基149.5万kW)も制圧されれば、リウネ原発(稼働中3基228万kW)、フメリニツキー原発(稼働中1基84.1万kW)だけになる。原発を故意に破壊することは考えられないが、防衛隊と交戦すれば危険は高まる。
 原発を武力制圧するなど、許されることではない。
 ロイター通信は次のような危険性を伝えている。
 『侵攻したロシア軍が制圧したウクライナ北部のチェルノブイリ原発近くにあるスラブチッチ市の市長は5日、同原発の職員は10日間閉じ込められて疲労感が募っており、施設の運用で世界に危険を及ぼす事態になりかねないとの窮状を訴えた。』
 これは、制圧されたザポロジェ原発でも同様の事態であり、南ウクライナ原発が制圧されれば同様の危険性が生じる。

 ※≪事故情報編集部≫より
 この文章は、3月7日受信です。
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