[2022_03_08_05]東京電力福島第一原発事故から11年 変わらない東電の企業風土(福島)(福島放送2022年3月8日)
 
参照元
東京電力福島第一原発事故から11年 変わらない東電の企業風土(福島)

 2011年に起きた、福島第一原発の重大事故。
 あれから11年、みなさんは東京電力をどのように見てきましたか。
 あの事故が起きた背景には、東京電力の企業風土が影響していたのではないでしょうか。
 「時間が違っても、職場が違っても、この不祥事、事故を繰り返す企業体質はどっかおかしいんですよ。」
 東京電力では、11年前のあの事故が起きたあとも、度重なる不祥事で、その企業風土が指摘されていました。

【東京電力ホールディングス小早川智明社長】
 「県民のみなさんに大変なご不安、ご心配をお掛けしてしまったことをお詫び申し上げます。」
 同じ過ちを繰り返さないために、これまでの事故の教訓を伝え続ける男性がいます。

【東京電力安全啓発・創造センター小池明男所長】
 「過酷事故に発展し、その備えが十分でなく、放射性物質を外に出してしまったという結果になっています。」
 2018年に完成したこの研修施設で所長を務めている、小池明男(こいけ・あきお)さんです。
 小池さんは、福島第一原発の事故について2000回以上、研修を行ってきました。

【小池明男所長】
 「東京電力の安全啓発施設は目的は二つあります。一つ目は、11年前の福島第一原発の事故の、事実や教訓をしっかりと教育を行うためであります。
 もう一つの目的は、当時の膨大な複雑な資料を、しっかりと将来に継承していくためのアーカイブ的なものであります。」
 東京電力では、約3万人の全社員が、この施設で福島第一原発の事故を振り返り、社員同士が当時の経験や今後の働き方などについて語り合います。

【小池明男所長】
 「現在残念ながら、コロナによりまして、集まった研修をすることを中断を余儀なくされています。」

 ここでも影響が出ているのが新型コロナウイルスです。
 本来ならば、3時間かけて行われる対面での研修。
 現在は、約70分の事前収録ビデオの視聴と、オンラインでの対談形式に。

【小池明男所長】
 「福島の事故がありながら、メルトダウン隠しであり、パワーグリットの台風のときの情報提供のまずさであり、営業の不適切な行為によって、ことごとく我が社は社会の信頼を損ねてきた。」
 メルトダウン隠し・・・福島第一原発の事故直後、核燃料が溶け落ちるメルトダウンが起きていたにも関わらず2カ月間公表しませんでした。
 さらには、「メルトダウンを判断する基準はない」と説明。
 しかしその5年後に、実はメルトダウンの判断基準となるマニュアルがあったことを明かしました。

【東京電力原子力立地本部 岡村祐一部長代理(当時)】
 「私は(判断基準を)把握していましたけども、(当時は)直接状況をコントロールする、物事を判断する立場ではなかった。」

【東京電力広瀬直己社長(当時)】
 「世間の皆様方の立場に立てばこれを隠ぺいととらえるのは当然であります。」

 福島第一原発の事故も、こうした”責任の所掌が不明確”であったことや、”大丈夫だろう”というおごりや過信をもって仕事に取り組んでいた企業風土が原因の一つだったのではないかと考えられています。
 現在も続いている、旧経営陣の刑事責任を問う裁判では、元会長の勝俣恒久被告は、「福島県沖に津波は来ないと思っていた」と発言しています。

【小池明男所長】
 「東京電力事態の企業風土、体質、文化の根強い問題を根本的に変えないといけない」「1人1人が生まれ変わることが必要だと私は考えています。」

 これからの東京電力を担っていく若手社員たちは、どう向き合っていこうとしているのか。

【福島第一廃炉推進カンパニー建設・運用・保守センター 磯野匡秀さん】
 「最初は親に反対されていたというところもあって、よくない印象をもっている人もいると思うんですが、安全に進めますとただ言うだけでなく、行動で示していくしかないのかなと思います。」
 「小池さんが言っていたように、一人が変わればみんなが変わるという言葉がいい言葉だなと思って、これから実践していきたい」

 深く根付いた企業風土。
 東京電力はこれから、変わることができるのでしょうか。
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