[2022_03_05_03]露の原発攻撃は“自殺行為” 長大レクナ・鈴木副センター長 被爆者「不幸招く」(長崎新聞2022年3月5日)
 
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露の原発攻撃は“自殺行為” 長大レクナ・鈴木副センター長 被爆者「不幸招く」

 原発への攻撃は、もはや“自殺行為”だ−。ロシア軍がウクライナ南部のザポロジエ原発を砲撃した4日、長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA=レクナ)の鈴木達治郎副センター長は、核大国による暴挙に戸惑いつつ、強く非難した。原子炉が爆発すれば放射能汚染は広範囲にわたり「ロシアにとってもプラスにならない」と自制を求めた。
 鈴木氏は日本の原子力委員会委員長代理などを歴任し、核軍縮・不拡散政策にも詳しい。稼働中の原発への攻撃は史上初めて。鈴木氏は「合理的判断が通用せず、常軌を逸している。たとえ施設内の安全に影響がないと考えられる建物を狙ったとしても、明らかに国際法違反」と指摘する。
 ザポロジエ原発には6基の原子炉がある。鈴木氏は「1基でも原子炉が破損すれば、大量の放射性物質がまき散って周辺に立ち入れなくなる。他の原子炉を守れず、メルトダウン(炉心溶融)が連鎖的に起こる可能性もある」と最悪のケースを危惧。放射能汚染はロシアを含む欧州や世界各国に及ぶと想定され、鈴木氏は「今後も原発攻撃はロシアのためにならないと伝え、思いとどまらせるしかない」と語った。
 一方、放射能被害の恐ろしさを伝えてきた長崎の被爆者も憤りをあらわにした。
 長崎原爆被災者協議会の田中重光会長(81)は「原発に攻撃するなんて前代未聞。テロリストでも、そんなことはしなかった。もし1発でも命中すれば大変なことだ」と非難。プーチン大統領が核兵器使用を示唆していたことに触れ「冷静さを失っており、ここまでくれば、核兵器の使用もあり得るのではと不安に思う。蛮行を繰り返していれば、ロシア国民にも不幸を招くだろう」と語る。
 県平和運動センター被爆連の川野浩一議長(82)は「常識では考えられない、狂気の沙汰だ」と語気を強める。「放射能漏れが起これば、地域住民に将来にわたって大きな影響を及ぼしてしまう。脅しのつもりでも、誤射の恐れもある。プーチン大統領が何を考えているのか分からず、誰も止められないのだろう」と現状を憂えた。
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