[2021_12_06_02]米軍三沢基地F16戦闘機が燃料タンク2個を地上投棄 「居住地を避け投下」はウソ、住宅地から20mで傍に役場 地元へ連絡は事件3時間後、国・県と協議なしに飛行再開 メディアは日本を植民地と見て空を占有する米軍の監視を「メディア改革」連載第84回 浅野健一(アカデミックジャーナリスト)(たんぽぽ舎2021年12月6日)
 
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米軍三沢基地F16戦闘機が燃料タンク2個を地上投棄 「居住地を避け投下」はウソ、住宅地から20mで傍に役場 地元へ連絡は事件3時間後、国・県と協議なしに飛行再開 メディアは日本を植民地と見て空を占有する米軍の監視を「メディア改革」連載第84回 浅野健一(アカデミックジャーナリスト)

 ◎ 米軍三沢基地に所属するF16戦闘機が11月30日午後6時10分ごろ、飛行中に燃料タンク2個を投棄し、そのうち1個が青森県深浦町の住宅地から約20メートルの道路上に落下した。
 近くに町役場、中学校、寺などがある。もう1個は2日、日本海沿岸部にある深浦町で見つかった。
 発見場所は山中で、町立中学校から南に約800メートルだった。
 県知事らが抗議した。

 ◎ この事件で、青森空港は閉鎖され、滑走路閉鎖の影響で、民間航空機1機が名古屋へ引き返し、青森発大阪行きなど計6便が運航を見送った。
 死傷者が出なかったが、大惨事になるところだったが、この事件の報道があまりに少ない。テレビが現場から中継で使えることもあまりなく、情報番組は取り上げない。2個目のタンクは防衛省提供のぼやけた写真しかなかった。
 「野党合同ヒアリングはやらない」と表明した泉健太氏が立憲民主党の新代表に就任したためか、政権反対党の追及もない。異常だ。
 今日から始まる臨時国会で事件の徹底調査と再発防止策を議論してほしい。

 ◎ F16機はエンジンの油圧が下がりパイロットが飛行不可能と判断し、青森空港に緊急着陸した。NHKはこの事件を「トラブル」と表現している。米軍は青森県に「戦闘機には近づかないように」と連絡したという。
 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211202/k10013371211000.html
 米軍は11月30日午後9時半近くに「緊急着陸に備えてタンク2個を投棄した」などと防衛省、青森県に連絡した。事件から約3時間半後だった。日米間では、米軍機の事故が発生した場合は「できる限り速やかに通報する」と取り決めている。
 https://www.tokyo-np.co.jp/article/146184

 ◎ 米軍三沢基地第35戦闘航空団副司令官のティモシー・マーフィー大佐は午後11時ごろ、「F16戦闘機が飛行中に緊急事態に陥り、岩木山近くの人が住んでいない地域に燃料タンク2個を投棄した」「原因究明に向け綿密な調査を実施する」と発表した。「非居住地域に投棄した」というのは大ウソだった。

 ◎ 三沢市によると、米軍のマニュアルでは、飛行中にエンジントラブルなどが起きた場合は機体を軽くするために、水面や、家などがない地上に燃料タンクを投棄すると定めていることについて説明があったという。

 ◎ 防衛省は1日、在日米軍に対し安全が確認されるまで国内での飛行を見合わせるよう要請していたが、三沢基地所属の複数のF16機が2日午後、基地周辺で飛行訓練を再開した。 東奥日報のWeb東奥によると、F16機は事故で落下したものと類似した燃料タンクを搭載して飛行を再開。滑走路上を低高度で飛ぶ「ローアプローチ」を行う機体もあり、周辺にはごう音が響いた。
 防衛省も事実を認識した上で、「事故原因や安全確保について米側に確認する」とした。
 防衛省担当者や三村申吾知事は飛行再開について、「安全対策の説明がないまま飛行を再開したことは極めて遺憾」とし、米軍に説明を求めていく姿勢を示した。
 社民県連の今村修代表は2日の県への要請後、記者団に「過去の事件で根本的な原因を究明できていないから事故が繰り返されるのではないか。いっそう厳しい対応が必要だ」と強調した。県の担当者は「一歩間違えれば大惨事につながり得る。県としても厳しく受け止めている」と述べた。
 https://news.yahoo.co.jp/articles/18840b7c20c6d34bbb32a1fbf02fd4eca5af195f

  ◎ F16機は青森空港に駐機したままとなっていたが5日午後、機体の整備・点検が終了したとして空港を離陸。東北防衛局によると、約15分で三沢基地に帰還したという。
 青森県警、国土交通省が米軍機を捜査、調査した形跡はない。
 https://www.youtube.com/watch?v=Encp2zgvSuE

 ◎ 共同通信がこの事件を最初に報じたのは11月30日午後8時2分の<青森空港に米軍機が緊急着陸、滑走路閉鎖>と題した青森発の「番外」だった。
 同8時28分に、<午後6時10分ごろ、米軍の航空機が青森空港に緊急着陸し、滑走路が閉鎖された。県などによると、けが人の情報は入っていない。原因は不明>と報じた。
 燃料タンク投棄を伝えたのは同10時21分の「番外」で、<米軍機、燃料タンク2個投棄か>と題し、<県によると、青森空港に緊急着陸した米軍機が着陸前、燃料タンク2個を県内に投棄したとの情報があり、場所を確認している>と報じた。報道は事件から約4時間半経っていた。
 同日午後11時23分、<燃料タンク投棄箇所は青森県深浦町と岩木山>と題した番外で、<防衛省によると、緊急着陸した米軍機が燃料タンク2個を投棄したのは、深浦町内と同県の岩木山付近>と報道した。

 ◎ 12月1日午前9時半、<タンク2個を同県深浦町の道路付近と岩木山(弘前市など)周辺に投棄。深浦町役場の近くでは、金属製物体と燃料とみられる液体が見つかり、県警が調べている><県内では2015年にF16戦闘機が燃料タンクを日本海に、2018年には湖に投棄。今回は1個が市街地に落ちており、住民の反発が高まるのは必至だ>と報道した。

 ◎ 県などによると、町役場周辺の現場では規制線が張られ、油臭が漂う中、警察官が車を誘導。県防災危機管理課の担当者は「あってはならない。引き続き情報収集に努める」と話した。
 共同通信によると、2015年以降の米軍機による「落下」事件は8件も起きている。三沢基地関係が5件。沖縄県の米軍基地関係が4件。
 戦闘機、大型輸送ヘリコプター、オスプレイなどが、窓、操縦席のカバーの一部、模擬弾、コンテナ、重さ約1.8キロのパネル、水筒などを学校や住宅地に落下している。
 ◎ F16機は何を目的に飛行していたのか。何のための訓練なのか。
 マサチューセッツ工科大学のノーム・チョムスキー教授は2002年11月、私のインタビューに「戦時中、日本人はvermin(害虫)だと教えられた。そういう意識で、原爆を広島と長崎に落としたのだろう」と述べた。
 現在の米軍パイロットも、住宅地に巨大なタンクを落とすことを何とも思っていないのではないか。

 ◎ 日本が外交・防衛に関しては事実上の植民地で、日米地位協定によって、米軍の事件事故に関する捜査権が厳しく制限されている。
 米軍基地は欧州にもあるが、ドイツやイタリアでこんな危険な投棄をするだろうか。戦勝国の軍隊の兵士は日本人を今も見下していると思う。
 私はフェイスブックにこの事件について2回(1、3日)投稿したので、ぜひ覗いてほしい。
 私は投稿で、日本列島では米軍の占領が76年4カ月も続いていることを思い知らされたと書いた。
 https://www.facebook.com/profile.php?id=100022241222173

 ◎ 米軍は自国内では住宅地の上空での訓練ができない。日本の空を事実上管理し、勝手気ままに使っている米軍。
 日本の民間機は非常に狭い空域を飛ばざるを得ない。こんな独立国は朝鮮戦争が続く韓国以外にない。

 ◎ 日本が普通の国になるには、米軍の撤退を社会全体で議題にするべきではないか。
 外国軍の基地が沖縄など各地に存在し、数万の兵士が駐留する独立国は、アジアでは日韓両国だけだ。
 「美しい国」を希求する保守・中道の政治家・報道人に真剣に考えてもらいたい。
KEY_WORD:墜落落下事故_: