[2021_11_08_04]福島第1原発の処理水を考える 漁師や専門家ら28日に対話集会(毎日新聞2021年11月8日)
 
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福島第1原発の処理水を考える 漁師や専門家ら28日に対話集会

 東京電力福島第1原発の処理水を考える材料にしてもらおうと、NPO法人「福島ダイアログ」(福島県いわき市)は28日、「処理水をめぐる課題を福島で考える、世界と考える」と題した対話集会を開催する。浜通りの漁師や観光業者、国内外の専門家らが課題や経験を共有し、登壇者同士で話し合ってもらう。同県楢葉町で開かれ、誰でもオンラインから視聴できる。
 政府は4月、第1原発事故で生じた処理水について2年後に海に放出する方針を決めた。トリチウムを含む処理水は国内外の原子力施設で放出されており、微量なら人体や環境に悪影響はないとされる。一方で、風評被害の再燃を懸念する水産業者らの反対は根強く、中国、韓国両政府も反発している。
 対話集会では、いわき市のホッキ貝漁師や同県相馬市松川浦地区の観光旅館組合事務局長、JAふくしま未来(福島市)組合長、国の小委員会で委員を務めた福島大の小山良太教授らが登壇する。海外からは韓国放射線防護学会の専門家が「福島の処理水に対する韓国の認識とコミュニケーションの状況」というテーマで報告するほか、カナダやフランスで原子力施設と住民間の協議に携わった関係者にも経験を共有してもらう。
 福島ダイアログ理事長の安東量子さんは震災後、地元有志らと放射線測定や勉強会を続け、当事者や専門家を招く対話集会を運営。2016年からは地元住民を中心とする運営組織となり、19年に法人を設立した。安東さんは「海洋放出の方針が決まり関係者間で協議が進んでいるが、多くの人の中に割り切れない思いが残っている。それぞれの立場や考え方から違ってくる現状認識や課題を共有してもらい、それぞれが考える材料にしてもらいたい」と呼びかける。
 会場は楢葉町のならはCANvas(キャンバス)で、新型コロナ感染防止対策の人数制限があるため登壇者以外は来場できない。代わりにビデオ会議ツール「zoom」から視聴でき、申し込みはhttps://fukushima-dialogue.jp/zoom202111/から。参加費無料。日英同時通訳付き。後日、録画映像の公開も予定する。【尾崎修二】
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