[2021_10_23_07]エネルギー政策の間違い 「脱炭素」で原発推進 資源を浪費する自然エネルギー (下)(了) エネルギーの転換回数増でロス(損失)拡大 小若順一(食品と暮らしの安全基金)(たんぽぽ舎2021年10月23日)
 
参照元
エネルギー政策の間違い 「脱炭素」で原発推進 資源を浪費する自然エネルギー (下)(了) エネルギーの転換回数増でロス(損失)拡大 小若順一(食品と暮らしの安全基金)

 
6.風力発電

 風力発電は、台風で壊れたというニュースをよく見ます。
 風力発電が盛んなデンマークは、樺太より北にあるので台風のような熱帯低気圧は来ません。だから、電力を安く生産できるのです。
 日本は台風が来るので、発電装置を頑丈に造らなければなりません。それで羽が重くなり、発電効率が悪くなって、ヨーロッパより発電コストが高くなります。
 発電装置や施設の設置にも鉄を多く使って頑丈にするため、稼働する前に多量のCO2が排出されています。
 だから、日本の風力発電はコスト高になり、CO2の放出量も北欧より多いのです。

7.バックアップ電源に火力発電

 太陽光発電は、夜は発電しません。風力発電も、無風や強風のときは発電できません。電気を造れないときに電気を使えるように、バックアップ電源が必要です。
 従来の発電も、補修などで発電できないときのために、すぐ発電できる石油や天然ガスによる予備の火力発電を持っています。
 太陽光や風力発電には当初、バックアップとしてこの予備の部分が割り当てられていました。
 しかし、発電量が増えたので、いつでも発電できる自前の火力発電をバックアップ電源として持つようになりました。
 それなら火力発電だけでいいのです。太陽光や風力発電を推進するために火力発電を新設するなんて、本末転倒でしかありません。
 環境派の生協は、地球温暖化を防ごうと太陽光発電を推進しています。
 しかし、その結果、資源を浪費し、CO2を増大させ、電気料金値上げの片棒を担ぐことになりました。
 もっと勉強して、地球に有害な活動を早くやめてもらいたいと思います。

8.電気自動車は温暖化を加速

 欧州委員会は、温室効果ガスを削減するため、自動車のCO2排出基準を2035年にゼロにすると発表しました。14年後からは、電気自動車しか製造できなくなるわけです。
 電気自動車への参入が遅れたトヨタは、電気自動車に搭載する電池を開発・生産するため、2030年までに1兆5000億円を投資すると発表しました。
 企業としては仕方ない判断です。
 しかし、電気自動車用の製造ラインの増設、新型電池の開発、製造工場の新設に1兆円が使われると、多量のCO2が放出されることになります。
 電気自動車になると、充電する電力を造るために、火力発電所から大量のCO2が排出されます。つまり、CO2の排出場所が、車から火力発電所に移るだけなのです。

9.エネルギーの転換回数増でロス(損失)拡大

 ディーゼル車を電気自動車にすると、エネルギーの転換回数が増えます。
 石油→燃焼→動力だったのが、石油(天然ガス)→燃焼→電気→電池に充電→電気→動力と、転換回数が増えるのです。
 エネルギーは、別のエネルギーに転換するとき、ロスが出ます。だから、エネルギーの転換回数が増えると、CO2排出量が多くなります。
 発電所まで広げて考えると、電気自動車はエネルギーの転換回数が多いので、CO2が多く放出されることになります。
 CO2が地球を温暖化させているなら、電気自動車に全面転換すると、温暖化が加速することになります。
 でも、電気自動車に全面転換する施策を進めると、充電池に用いるリチウムやニッケルなどが不足して価格が高騰するので、途中で、この政策は破綻すると私は思います。

・プレゼント

 「脱炭素」「温室効果ガス排出削減」「クリーンエネルギー」など、政府や国際機関が推進する政策はインチキだらけ。
 正しい施策は「節約」です。
 資源とエネルギー源をできるだけ多く子孫に残すことは現代人の責務、と考える私は、『オシャレで無理なく生活できる−素敵な生活!』(三五館)を、2007年に書きました。
 安全で快適で豊かに暮らしながら、省エネ・省資源を実践する生活方法をまとめたのですが、残念ながら、まったく売れませんでした。
 14年たったので、「5章 魅惑の商品のホントの話」は古くなっていますが、他は今でも通用します。
 読んでいただけるなら、差し上げます。
 〒338-0003さいたま市中央区本町東2-14-18「食品と暮らしの安全基金」に、250円分の切手をお送りください。
(「食品と暮らしの安全」2021年10月号No390より了承を得て転載)
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