[2021_10_23_02]触れるのはタブー? 原発論議低調 川内原発抱える衆院選鹿児島3区(南日本新聞2021年10月23日)
 
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触れるのはタブー? 原発論議低調 川内原発抱える衆院選鹿児島3区

 31日投開票の衆院選鹿児島3区では、同区の薩摩川内市に立地する九州電力川内原発1、2号機を巡る論議が低調だ。賛否が割れる原発の話自体がタブー視される地元の実情もあり、票が逃げるのを避けたいという候補者の思惑がのぞく。九電は公示前日、川内1号機の運転延長に必要な特別点検を開始。有権者からは「候補者の考えを示すべきだ」との声が聞かれる。
 3区に立候補したのは自民前職の小里泰弘さん(63)と立憲民主元職の野間健さん(63)。19日、それぞれ同市で開いた出陣式で「原発」の言葉を発せず、運転延長にも触れなかった。選挙期間中、有権者に配る両者のビラにも原発の記載はない。
 「賛否に言及すれば、保守系か共産系のどちらかの票を失う。難しい」と野間陣営幹部。野党共闘を結ぶ共産党には「大局を見て協力してほしい」。
 小里陣営関係者も「どんなに説明しても極端な賛成、反対と受け取られてしまう。短い演説の中で有権者に理解してもらうのは難しい」と漏らす。
 川内1、2号機は2024年7月、25年11月にそれぞれ原則40年の運転期限を迎える。ただし、原子力規制委員会が認可すれば、1回に限り最長20年の延長が可能になる。
 運転延長について小里さんは「前提として安全性を確認した上で、延長を許容す
る」との立場。野間さんは「原子炉の状態の検証が第一。大丈夫なら法律的に延長は適法」との見解だ。
 薩摩川内市や川内原発30キロ圏内の有権者からは、議論の活発化を求める声が上がる。
 同市の70代アルバイト女性は「原発関連の職に就く人は多く、話題にしにくい気持ちも分かる」としつつ、「地元の将来を決める選挙だからこそ、原発への考えを有権者にはっきり示してほしい」と話す。いちき串木野市で2人の子を育てる女性(38)は「候補者が自分事として考えていないように感じる。無責任だ」と問題視した。
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