[2021_10_22_07]エネルギー政策の間違い…「脱炭素」で原発推進 資源を浪費する自然エネルギー (上) (2回の連載) 小若順一(食品と暮らしの安全基金)(たんぽぽ舎2021年10月22日)
 
参照元
エネルギー政策の間違い…「脱炭素」で原発推進 資源を浪費する自然エネルギー (上) (2回の連載) 小若順一(食品と暮らしの安全基金)

 項目紹介
1.原発が「脱炭素」?
2.陰に原子力業界
3.CO2が原因でない地球温暖化
4.製造や建設時から廃棄されるまでのトータルで評価する必要
5.太陽光発電
  以上を(上)に掲載

  以下を(下)に掲載
6.風力発電
7.バックアップ電源に火力発電
8.電気自動車は温暖化を加速
9.エネルギーの転換回数増でロス拡大
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 東日本を壊滅寸前にする大爆発事故を起こしたのに、運転中にCO2を出さないという「脱炭素」の理屈だけで、原発を電力供給の柱に据える政策は、間違っています。

1.原発が「脱炭素」?

 昨年の10月30日、菅首相は「脱炭素社会の実現を目指す」として「再生可能エネルギー」を増やす政策を掲げました。電源構成に占める原子力の割合は2030年には20〜22%と、2019年の実績6%を大きく上回る構想を発表しています。
 アメリカも同様で、CO2を出さない「クリーンエネルギー」の拡大を選挙で公約したバイデン大統領が就任し、新小型原発の開発が始まっています。
 ここに日本企業の、日立、東芝、三菱工業、日揮などが参入しています。
 原発は「脱炭素」になるとされ、国際的にも推進されています。
 こんな「脱炭素」が正しいのでしょうか。

2.陰に原子力業界

 チェルノブイリ原発事故が起きた1980年代から、異常気象の研究に原子力業界が多額の研究費を出していたので、CO2に関する研究論文はたくさん出ていました。
 これらはCO2が地球温暖化の主犯という結論ではありませんでしたが、「気候変動枠組み条約」が1992年の地球サミットで採択され、155ヵ国が署名し、「脱炭素」が進められるようになったのです。
 そして、今はどの国も「脱炭素」に沿う政策が当たり前になっています。

3.CO2が原因でない地球温暖化

 世界で出るCO2は、昨年からのコロナ禍で2年連続して大きく減っています。だから、いま起きている急激な地球温暖化は、CO2が原因ではありません。
 地球科学者の9割以上は、温暖化の原因がCO2とは考えていません(『地球温暖化「CO2犯人説」は世紀の大ウソ』丸山茂徳ほか、宝島社、2020年2月発行より)。
 地球温暖化の原因説は多数ありますが、いま起きている事実が、CO2温暖化説は間違いであることを示しています。

4.製造や建設時から廃棄されるまでのトータルで評価する必要

 原発は脱炭素で生き残っていますが、製造・建設時に大量のCO2を出していることは無視されたまま。製造や建設時から廃棄されるまでのトータルで「脱炭素」かどうかを評価する必要があります。
 今の「脱炭素」がいかに間違っているか、太陽光発電、風力発電、電気自動車を例に挙げて、検証してみましょう。
 「脱炭素」「再生可能」「クリーンエネルギー」と持てはやされ、自然に良いと思わせて推進される「自然エネルギー」が、資源を浪費し、CO2の放出量を激増させています。

5.太陽光発電

 熱海で発生した土石流で、巨大な太陽光発電による環境破壊が表面化しました。
 しかし、太陽光発電は、他にも根本的な問題があります。
 太陽光発電を設置する尾根を切り開くのにガソリンが使われ、鉄骨や資材を山に運び上げるのにもガソリンが使われます。
 鉄は、石炭から造ったコークスで鉄鉱石を溶かして造ります。
 太陽光を電気に変える半導体は、土中からシリコン結晶を掘り出すときにガソリンを使い、結晶から不純物を取り除き、加工を繰り返すときに、電気が使われています。
 電気も元をたどれば、石油や天然ガスから造られています。
 使う電気を太陽光発電に替えればいいと思うかもしれませんが、そんなことをすると、CO2はさらに増えます。
 ヨーロッパで太陽光発電が推進される理由の一つは、新たな雇用を生み出すからです。  (下)に続く
(「食品と暮らしの安全」2021年10月号No390より了承を得て転載)
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