[2021_10_20_03]原子力規制委、検査計画を了承 柏崎刈羽原発対テロ不備 経費削減の影響も調査(新潟日報2021年10月20日)
 
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原子力規制委、検査計画を了承 柏崎刈羽原発対テロ不備 経費削減の影響も調査

 東京電力柏崎刈羽原発でテロなどを防ぐ核物質防護体制の不備が相次いだ問題を巡り、原子力規制委員会は20日の定例会合で、東電に対して行う検査計画を了承した。東電福島第1原発事故後の経営状況を踏まえた経費削減がこの問題にどう影響したかなどについて、年度内をめどに先行して調べる。26、27日に規制委事務局の原子力規制庁職員が柏崎刈羽原発に入り、本格的な検査を開始する。
 東電は9月、一連の問題の原因などをまとめた報告書を規制庁に提出。規制委は今後の検査で問題の背景分析を進め、東電が報告書で示した「改善措置計画」の実施状況を確認する。全ての検査完了には1年前後かかるとみられるが、20日の記者会見で規制委の更田豊志委員長は「いつまでと示すのは無理」と述べた。
 定例会合では、東電の報告書に関し委員から厳しい意見が相次いだ。山中伸介委員は「分析や対策が不十分だ」と指摘。「東電は、階層、縦割り構造が極めて強い」などとして、企業体質の特徴をよく調べる必要があるとした。
 また、石渡明委員は、今回のテロ対策の不備につながった設備の長期利用が、東電社内ではコスト削減の好事例とされていたことを問題視。柏崎刈羽原発だけではなく、全社的な問題との見方を示した。
 更田委員長は会見で、「本来、核物質防護は自らの発電所を守るためのものだが、規制当局からの要求に応えることが目的化していたように受け取れる」と指摘。今後の検査で、現場職員の安全対策への意識などを分析する考えを示した。
 規制委は、柏崎刈羽原発での核燃料の移動を禁じる命令を出している。検査を通じて東電の自社での改善が見込めると判断されるまで、東電が目指す7号機の再稼働はできない。
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