[2021_09_29_01]地下70mより深くに10万年 規制委、廃炉ごみ処分場の基準決定(毎日新聞2021年9月29日)
 
参照元
地下70mより深くに10万年 規制委、廃炉ごみ処分場の基準決定

 原発の廃炉に伴って生じる汚染度の高い放射性廃棄物(廃炉ごみ)について、原子力規制委員会は29日の定例会合で、処分場の規制基準を決めた。電力会社などは、地下70メートルより深い場所に処分場を設けて約10万年間、地中で隔離しなければならなくなる。汚染度の低い廃炉ごみの基準は既に定められており、今回の決定により廃炉ごみの基準が全て整備されたことになる。
 原発で使い終わった核燃料からプルトニウムを取り出すと生じる放射性レベルの高い廃液は、ガラスで円筒状に固められる。このガラス固化体は、高レベル放射性廃棄物(核のごみ)と呼ばれる。
 一方、廃炉ごみは低レベル放射性廃棄物に分類される。低レベル放射性廃棄物は、放射線を出す能力(放射能)の強い順から「L1」「L2」「L3」という区分がある。
 今回決定したのはL1の基準で、核燃料のすぐそばにある制御棒や炉心を支える構造物などが、該当する廃炉ごみになる。事故を起こした東京電力福島第1原発を除き、全ての原発が廃炉になると、L1相当の廃炉ごみは計7700トンに上ると見込まれている。
 基準では、処分場の整備に当たり、12万〜13万年前から今までに動いた恐れがある活断層や、それより古くても規模が大きい断層を避けなければならない。処分後の約300〜400年間は、処分場から放射性物質が漏れていないか定期的な監視も求めることにした。地上部分では、処分場による被ばく線量を、国際基準に合わせて年0・3ミリシーベルト以下に抑える必要がある。
 今回の規制基準を巡っては、規制委は2018年8月、基準案を了承していた。しかし、詳細な内容を詰めるのに時間がかかり、今月になって決定に至った。
 規制委は今後、核のごみについても処分場の規制基準を検討する。核のごみは、地上から300メートル以上深い場所で約10万年隔離することになっている。【岡田英】
KEY_WORD:廃炉_:FUKU1_: