[2021_09_14_01]河野氏「核燃サイクル不要」発言、青森県内に波紋 自民総裁選、国会議員「不支持」の声も(東奥日報2021年9月14日)
 
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河野氏「核燃サイクル不要」発言、青森県内に波紋 自民総裁選、国会議員「不支持」の声も

 自民党総裁選の有力候補の一人、河野太郎氏の核燃料サイクル政策は止めるべきだとする発言が青森県内で波紋を広げている。再処理工場をはじめ関連施設が集中立地する青森県の関係者らは総裁選の動向を注視。青森県の自民党国会議員からは「支持できない」と反発の声もある。
 「『河野首相』はわれわれの考える最悪のパターン」。電力関係者はこう吐露し、河野氏の総裁選勝利を警戒する。
 河野氏は東京電力福島第1原発事故後の2012年、発起人の一人として超党派有志の勉強会「原発ゼロの会」を立ち上げ、脱原発を主張してきた党内でも異色の存在。サイクルについても、プルトニウム燃料を燃やす高速増殖炉が頓挫したことなどを挙げ、政策見直しを主張してきた。
 総裁選の出馬会見では、原発について、脱炭素社会実現のために既存原発の再稼働を容認するとし、態度を軟化させた。ただ、サイクルに関しては主張を緩めず、テレビ番組で「(使用済み核燃料を)再処理してプルトニウムを取り出す必要はない」「サイクルからの方向転換を(議論の)テーブルに載せる必要がある」などと発言した。
 河野氏発言に対し、青森県の自民党国会議員から反発の声が上がる。「河野太郎、何言っているんだと思っている方も多々いるかもしれない」。木村次郎衆院議員は12日、青森市で行われた江渡聡徳衆院議員の衆院選事務所開きで河野氏をけん制した。また、津島淳衆院議員は「脱原発は河野氏の持論だが、『サイクル不要』の考えは本県選出の議員として一つの判断材料になる」と投票を左右する可能性を示唆。さらに「投票できるわけない」との声もあった。
 再処理工場などが立地する六ケ所村の戸田衛村長は「河野氏のスタンスをはっきり把握できていない」とコメントを控えたが、下北地方のある首長は「サイクルを止めるなら使用済み核燃料は直接処分しなければならない。その最終処分場に『手を挙げろ』と自治体に言っても、どこも協力しないだろう」と指摘した。
 再処理工場の許可取り消しを求め長年、国と争っている「核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団」代表の浅石紘爾弁護士は「再処理を止めると言う以上は脱原発を押し出すべきだが、河野氏は正面からの主張を引っ込め『現実路線』としたのだろう。理路整然としていないところはあるものの、サイクルに関する発言は評価したい」と話した。
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