[2020_12_11_09]除染土で栽培の野菜「食用可」 環境省が分析値を初公表 福島・飯舘(河北新報2020年12月11日)
 
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除染土で栽培の野菜「食用可」 環境省が分析値を初公表 福島・飯舘

 東京電力福島第1原発事故後に除染で生じた土を農地造成に再利用し、作物への影響を調べる国の実証事業で、環境省は10日、除染土に直接植えて試験栽培した野菜の分析値を初めて公表した。放射性セシウム濃度は国の基準値(1キログラム当たり100ベクレル)を下回り、食べても問題ない値だった。
 事業は帰還困難区域の福島県飯舘村長泥地区で実施されている。同日は地元住民らで構成する協議会が村内であり、1キログラム当たり平均2100ベクレルの放射性物質を含む除染土で直接野菜を育てた結果が報告された。
 セシウム濃度はインゲンが0.4ベクレル、キャベツは1.6ベクレル。除染土を厚さ50センチの通常の土で覆って育てた場合とほぼ変わらなかった。土壌にセシウムがとどまり、植物に移行しなかったためとみられる。
 同省は除染土を農地利用する際は覆土を行う方針だが、安全性や生育性を比較するため覆土なしでの栽培を試験的に実施した。
 地区住民代表の鴫原清三委員は「基準よりはるかに低い値で、地元に戻って暮らせると一安心した。60年もいた場所だから、大変ありがたい」と述べた。
 同省の川又孝太郎環境再生事業担当参事官は「覆土しなくても非常に低い値になり、(覆土すれば)さらに安心してもらえると思う。覆土をしっかり行っていく従来方針は変わらない」と語った。
 実証事業は最終処分の必要量を減らす目的で2019年度に本格スタート。21年度も試験栽培を継続し、実証結果の蓄積を図る。
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