[2020_11_19_05]放射性廃液 半量固化へ 再処理工場 原燃、工程始動までに(東奥日報2020年11月19日)
 
 日本原燃は18日、六ヶ所再処理工場で貯蔵中の高レベル放射性廃液約200立方メートルのうち、およそ半量を再処理工程の始動までに、ガラスと混ぜて高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)に固める方針を新たに示した。廃液は極めて高い放射線を出し、管理面で「固体に比べれば不安定な状態」(更田豊志・原子力規制委員長)。同日、増田尚宏社長は規制委との意見交換で「今ある廃液をしっかり処理する」と強調した。
 廃液は、原発で使い終わった燃料を再処理する過程で発生。ガラス固化体とした後、最終処分場に埋める。
 工場では現在、過去のアクティブ試験(最終試運転)で生じた廃液約200立方メートルを保管。操業後にフル稼働して使用済み核燃料を年間800トン処理した場合、高レベル廃液のうち濃縮廃液だけで320立方メートルが新たに生じる仕組みだ。
 合格を得た安全審査では廃液が冷却機能を失って蒸発し、放射性物質が漏れる重大事故の対処を重点的に議論した一方、リスクを減らすために現有分を「極力減らしたい」(原子力規制庁幹部)との懸念は残る。
 原燃は、使用済み核燃料の切断後に新たに生じる原液をためる余地を確保するため、2022年度上期とする完工後、切断前までに廃液の処理運転を実施すると表明。18日、現有分の半量に当たる100立方メートル程度をガラス固化し、廃液を減らす方針を示した。ただ、ガラス固化は試験でトラブルが続発した過去がある。
 規制委は18日、原燃の池辺和弘会長(電気事業連合会長)ら経営陣と東京都内で意見交換。更田委員長が「ガラス固化に何かの不具合が出た時には余分に先に切断を進めないと受け取って良いか」と尋ねると、増田社長は「圃化が駄目になった瞬間に(切断を)やめる必要はないと思うが、『これ以上は(廃液を)ためない』というルールは作っており、それ以上にならないところでやめる」と答えた。  (佐々木大輔)
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