[2020_10_28_01]原発避難 精神的苦痛の賠償は 新潟訴訟結審(BSN新潟放送2020年10月28日)
 
参照元
原発避難 精神的苦痛の賠償は 新潟訴訟結審

 福島第一原発事故の避難者が、東京電力と国に総額88億円の損害賠償を求めている集団訴訟。新潟訴訟は提訴から7年の月日がたち28日、結審しました。
 この裁判は、原発事故で避難を余儀なくされた806人の住民が、精神的苦痛を受けたとして1人あたり1100万円、総額88億円余りの損害賠償を東電と国に求めているものです。原告側は2013年7月に提訴。この集団訴訟は、原告の多くが非難指示区域外から避難した自主避難者であることが特徴です。
 原告側は意見陳述で、原発事故が原因でふるさとを離れざるをえなかった避難者の精神的苦痛に対し、「慰謝料」として賠償がなされるべきだと改めて主張しました。
 一方で、被告側は「津波による原発事故は予見することができなかった」と反論。その上で、原告側が求めている精神的苦痛に対する慰謝料は、ほかの名目ですでに支払ったと主張。賠償については「十分支払い済み」との認識を示しました。

【原告弁護団 遠藤達雄団長】
 「避難した人、家族のためにそこにいられないと(判断した人)。その立場に立って判決を出していただきたい」

【原告 泉田昭さん(72)】
 「(避難者は)じっと耐えてきたんですよ。裁判できちんとした判決を、誰が見ても『そうだよね』という判決を下してもらうことが、これからの事故防止にもなるのでは」
 提訴から7年。「ずっと耐えてきた」。避難者の訴えに裁判所がどのような判決を下すのか、注目されます。
 原発事故の避難者が東電や国に損害賠償を求めた訴訟は、全国でおよそ30件起こされ、続々と判決が出ています。これまでの裁判の経過を振り返ります。
 これまでの一審判決では、いずれも東京電力の責任を認めている一方、国の責任をめぐっては判断が二分されています。こうした中、9月30日に仙台高裁での控訴審判決では、初めて2審でも国の責任が認められました。
 新潟訴訟の特徴は、原告が避難指示区域以外のいわゆる自主避難者がおよそ8割を占めていることです。自主避難者の精神的苦痛について賠償の妥当性があるかが争点となっています。
 原発事故の避難者には、国が定めた指針に基づき東電から賠償金が支払われていますが、原告は「国の賠償指針を超える損害がある」と訴えてきました。一方、東電は今年3月からこれまでの主張を転じて、「精神的な損害の賠償はすでに十分支払われている」として、「解決済み」と主張を始めました。

 判決で新潟地裁がどう判断するか注目されます。
KEY_WORD:FUKU1_: