[2020_09_29_02]「戦犯」東京電力の適合性を認め私たちを危険にさらす原子力規制委員会 〜柏崎刈羽の「7つの約束」の猿芝居終了、事故再発を防げない規制委〜 原子力規制委員会は原発再稼働推進委員会! その232 木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)(たんぽぽ舎2020年9月29日)
 
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「戦犯」東京電力の適合性を認め私たちを危険にさらす原子力規制委員会 〜柏崎刈羽の「7つの約束」の猿芝居終了、事故再発を防げない規制委〜 原子力規制委員会は原発再稼働推進委員会! その232 木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)

 9月23日にとうとう原子力規制委員会が定例会議で東電柏崎刈羽6,7号機の「合格」を認めた。
 朝日新聞が定例会議直後に次の様に報じた。
 <「東電スペシャル」丸のみした東京電力 審査異例づくし
 あれだけの大事故を起こした事業者に再び原発を動かす資格があるのか。東京電力の「適格性」は、福島第一原発事故の反省から生まれた原子力規制委員会の最重要課題の一つだった。柏崎刈羽6、7号機(新潟県)の審査で規制委は、安全最優先の姿勢など基準のないものについても「東電スペシャル」(更田豊志委員長)として異例の要求を重ね、了承に踏み切った。
 東京電力の「適格性」認める 規制委、柏崎刈羽再稼働で…>
https://www.asahi.com/articles/ASN9R3K6JN9QULBJ008.html 
 NHKも同日夕刻に<東電 柏崎刈羽原発 再稼働への
規制手続きがほぼ終了>と報じた。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200923/k10012631081000.html 

 「その224」他で述べたように、柏崎6,7号機の審査において、「あれはあれこれはこれとはいかない」と言っていた更田委員長が、設置変更許可・工事計画認可の合格を認めるに当たって「7つの約束」を東電に指示し、保安規定審査での東電に何度も文書を書き直させて合格としたのだ。柏崎刈羽合格を与える為の規制委と東電との猿芝居がとうとう終了した。
 東電は、旧トップがイチエフ(福島第一原発)事故で刑事告訴され、事故原因追及も不十分(新潟県が検証中)であり、イチエフの廃炉・汚染水対策ロードマップを5回も改訂して目途が立たず、一方でADRの11の仲裁和解案を拒否し19以上の損害賠償裁判を訴えられ、アンダーコントロールの嘘が明らかになった中でトリチウム等放射能汚染水を海に流そうとして福島県民の怒りを買っている。こんな会社に原発を稼働させる資格は絶対にない。
 当然、この日の記者会見で質問がこの問題に集中した。そこで更田委員長が聞きずてならないことを言ったので紹介する。
 共同通信記者が、今回の保安規定に具体的対策(情報を社長に上げさせるなど)がイチエフ事故前に明示されていればイチエフ事故はどうだったのだろうか? と質問。

 更田委員長は次のとおり回答した。
 <東京電力福島第一原子力発電所事故の以前から、そのときそのときに議論されている技術的な内容がトップに伝わっていて、トップの意見なり判断を仰ぐような形になっていて、それでは、どういった対策が取れただろうかと、これは難しいところだというふうには思います。そして、確かに東京電力福島第一原子力発電所に事故以前に改善を図っておくべき余地があった部分もあるだろうけど、一方で、それと、災害の規模というのが極めて大きかったので、それと事故が防げたかどうかという議論はまた別物だというふうに思いますし、これは委員会や委員長としてではなくて、技術者として思いますけれども、あの時点での判断で、何らかの事故への対策が取り得たかもしれないけれども、事故が防げたとはちょっと考えにくいですね。東日本大震災以前にあの規模の津波を予測して、それに耐えられるだけの対策をというのは、なかなか考えにくいと思います。>

 事故前の規制当局(原子力安全・保安院)と東電トップをかばおうとするのは同じ原子力マフィア仲間だから想像できるが、なんと規制委の「新規制基準」や審査や今回の保安規定対策をしてもイチエフ事故は防げなかったと言っているではないか。
 当然、記者は更に鋭く追加質問した。
 記者<やはりそのリスクを把握するにもやっぱり限界があって、対策にもある程度やっぱり限界があるというのがそれが大前提でこれからの経験の運用なり、ほかの事業者かもしれないですけど、そこはやはり1F(イチエフ)のようないわゆる想定外が来たら当然対応はできないということになるのですか。>

 更田委員長<これは繰り返し申し上げていることですけど、その安全の対策に終わりはなくて、さらに、想定外がないというふうに考える日はこないのですね。何かを考えれば、集合は全体にどんどん大きくなっていくかもしれないけど、必ず補集合は存在して、想定外は常にあると考えて、私たちは規制に当たるべきだし、事業者は運用に当たるべきだし。ただし、要求が青天井になるわけではないし、対策も青天井の対策が取れるわけではない。危険は常に残るのだという意識は、これは消えることはない。>

 確かに以前から原子力規制委員会は「絶対安全」を保障していない。それでも、イチエフ事故に対する保安院や東電の判断を良とする規制委員会が、これから起こりうる新たな地震・火山・津波に対しても今の規制では何ら安全を担保できないのだ。
 だからこそ、私たちが言うように原発稼働を止めるしかないのだ。
KEY_WORD:KASHIWA_:HIGASHINIHON_:FUKU1_:TSUNAMI_:汚染水_: