[2020_09_24_01]<ふくしまの10年・イチエフあの時 事故発生当初編>(3)あちこちで地割れ、崩落 (東京新聞2020年9月24日)
 
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<ふくしまの10年・イチエフあの時 事故発生当初編>(3)あちこちで地割れ、崩落

 東京電力福島第一原発(イチエフ)事故の原因は「想定外」の大津波によるもので、地震によるものではなかったとされる。しかし決して地震の被害は小さくなかった。
 写真の地割れや崩落は、敷地の真ん中辺りの谷の周辺。海側道路では地割れや段差が発生し、斜面が崩落して道がふさがれた地点もあった。
 余震が続く中、作業員は免震重要棟を拠点に復旧工事に出掛けた。「二十四時間、指示があれば現場に行き、常に緊張状態だった。敷地内の至る所に地震や津波の影響が見られ、資機材を運ぶ際にも、まずは障害物を撤去するなどし、現場までの道を確保しなくてはならなかった」とベテラン作業員のハッピーさん(通称)は言う。
 5、6号機では、地滑りで送電線の鉄塔が倒壊し、外部電源が断たれた。倒壊した鉄塔は、崖を崩して各号機の敷地を造成した際の残土を沢に捨てた通称「土捨て場」近くにあった。1、2号機につながる受電施設も損傷し、早期の外部電源復旧を難しくさせた。このほか原発で使う純水を貯蔵するタンクなどが強い揺れでゆがみ、配管から漏水するなどの被害が出た。
 「建屋内の被害も甚大だったが、それが地震や津波のせいか、爆発のせいか分からなかった。十年たとうとしている今も、現場検証が進んでいないのには怒りを覚える」 
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