[2020_09_12_02]福島事故教訓、133点−県技術委(新潟日報2020年9月12日)
 
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福島事故教訓、133点−県技術委

 東京電力柏崎刈羽原発の安全性を議論する新潟県技術委員会は11日、独自の視点で検証を行ってきた福島第1原発事故に関する報告書案を大筋で了承した。抽出した課題、教訓は133点に上り、原発の重要機器が地震の揺れで損傷した可能性や、東電の情報発信の姿勢に問題点があったことなどを指摘した。花角英世知事が再稼働問題の議論に入る前提条件としている「三つの検証」で報告がまとまるのは初めてで、県の検証作業は一つの節目を迎えた。
 技術委は今後、正式な報告書をまとめ、県に提出する。さらに、得られた教訓を基に、柏崎刈羽原発の安全性を確認する作業を本格化させる。
 11日の会合では、報告書案に大きな異論は出ず、おおむね了承された。
 報告書案では、事故原因について、地震の揺れで重要設備が損傷した可能性が否定できないと指摘。政府事故調査・検証委員会などが事故の主要因に挙げる津波に加え、地震を併記し、柏崎刈羽原発での「耐震性の十分な確認」を求めた。
 事故時に炉心溶融(メルトダウン)が起きていたことを発生2カ月後まで公表しなかった東電の姿勢を批判。東電が当初「ない」と説明したメルトダウン判断のマニュアルが存在していたことが技術委の検証の過程で判明したとし、「東電は住民への迅速で分かりやすい説明より国との調整を優先した」と指弾した。
 結びでは「原発の安全性を確保するのは、最後は人だ」と強調し、「現在の対策で十分かどうか、常に改善していく姿勢が望まれる」とした。
 技術委座長の中島健・京都大教授は「予想を超える自然災害が起きたときに準備ができていないことが分かったのが福島事故。今後、この教訓を踏まえて柏崎刈羽原発の安全性を確認していきたい」と述べた。
 福島事故の検証は事故翌年の2012年から約8年に及んだ。先行した政府や国会、民間などの事故調査報告書を分析し、「地震対策」や「津波対策」など10項目に分けて議論を重ね、実地調査も行った。
 「三つの検証」ではこのほか、事故時の住民避難の実効性に関する検証と、原発事故が住民の健康と生活に及ぼす影響についての検証が続いている。
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