[2020_08_14_04]寿都町「核のごみ」文献調査応募検討 「悪影響あるのでは」 町内外に驚きと波紋(毎日新聞2020年8月14日)
 
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寿都町「核のごみ」文献調査応募検討 「悪影響あるのでは」 町内外に驚きと波紋

 原発の使用済み核燃料から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定の文献調査に、北海道寿都町が応募を検討していることが表面化した13日、町内外に驚きと波紋が広がった。片岡春雄町長(71)は「町民の理解がなければ調査は受け入れない」としており、町は今月26日から来月中旬にかけて地元町民らと意見交換を行う。【山下智恵、高橋由衣】
 「子どもや若い人にどんな影響があるか分からない。自分が育った町に、よく分からないものが来るのは誰だって嫌だ」。同町の無職の女性(85)は、否定的な考えを示した。
 寿都町の実家に帰省中の札幌市の男性会社員(63)も「驚いた。風評被害で漁業や観光にも悪影響が出るのではないか。万が一事故があったらどう対処するのか。町長にしっかり説明してほしい」と戸惑いを隠せない様子だ。
 町の文献調査への応募検討のニュースは北海道新聞が13日付朝刊で報じ、波紋は町外にも広がった。
 同町に隣接する蘭越町の幹部は「町民の安全・安心に関わるのであれば今後、さまざまな場で寿都町と協議をしていきたい」と語った。
 寿都町と同じ後志管内で、国内外からの観光客が訪れるニセコ町の職員は「うちの町のイメージを含め、どんな影響があるのか分からない。今後具体的な動きになるのか、見守りたい」と話した。
 こうした中、道環境エネルギー課の担当者は「道の基本姿勢は条例。まずは町の考えや検討の状況を聞いて対応したい」と語った。
 その条例とは、道が2000年10月に制定した全国で唯一の「核抜き条例」だ。核燃料サイクル開発機構(現在は日本原子力研究開発機構)が01年、核のごみの地層処分の技術的検討を行うため「幌延深地層研究センター」(幌延町)を設置する際、制定された。
 条例は核のごみについて「持込みは慎重に対処すべきであり、受け入れがたい」と明記。同センターで放射性廃棄物を持ち込んだ実験や、実験場が処分場になることを防ぐ狙いがあった。そうした動きに連動し、道内の自治体でも独自の「核抜き条例」を制定する動きが広まった。
 しかし、最終処分場の選定を進める国は、「核抜き条例」を持つ道内も候補地から除外せず、候補地公募に向けた自治体向けの説明会を開催してきた。
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