[2020_08_12_01]再処理完工1年延期 原燃 22年度上期で調整(東奥日報2020年8月12日)
 
 日本原燃が2021年度上期としている六ヶ所再処理工場(六ヶ所村)の完工日標を、「22年度上期」に1年程度延期する方向で最終調整していることが11日、複数の関係者への取材で分かった。再処理工場は7月29日に原子力規制委員会の安全審査に合格、操業に向け大きな節目を迎えていたが、完工までには各種手続きや安全対策工事を終える必要があり、延期は不可避とみられていた。
 今後2年間で全ての工程を終えることができると判断したもよう。新たな完工目標は月内にも取締役会を開いて正式決定する。
 原燃は今後、審査で議論した安全対策を施設や設備機器に反映させるための「設計・工事の計画の認可」(設工認)の申請、それに伴う規制側の審査、実際の安全工事、工場の使用前検査などを行う必要がある。増田尚宏社長は合格後、21年度上期の目標について「簡単ではないが、今変える必要はない」と強調、近く完工までの工程を示すとしていた。
 ただ、設工認の審査には「最低1年ほど」(規制委審査チーム)を要するとの指摘がある。規制委の更田豊志委員長も7月29日の会見で、完工前の手続きや21年度上期の目標に関し「経験に照らして考えると1年でこなすのは容易ではない。原燃が、目を見張るほど立派な計画と内容を示した場合にのみ可能な、チャレンジングなスケジュール」との見解を述べていた。
 さらに、原燃が計画する安全工事は総量が膨大で、認可後でなければ着手できないものも多い。構内では既に多岐にわたる準備工事が進められているが、20年度中に安全工事を終えるとの目標も達成困難な状況だった。
 原燃はこれまで23回(「未定」の届け出を除く)にわたり再処理工場の完工時期を延期してきた。前回延期を発表した17年は、延期幅が過去最長の3年だった。
    (本紙取材班)
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