[2020_08_08_02]柏崎刈羽再稼働の事前同意「30キロ圏内」に拡大を 8市町議員が研究会 新潟(毎日新聞2020年8月8日)
 
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柏崎刈羽再稼働の事前同意「30キロ圏内」に拡大を 8市町議員が研究会 新潟

 東京電力柏崎刈羽原発から30キロ圏(UPZ)の議員有志が7日、再稼働について事前に同意を得る自治体の拡大を目指す研究会を30日に設立すると発表した。事前同意に関する東電との安全協定のあり方を検討し、30キロ圏の首長に協定の締結を求めていく考えだが、立地する柏崎市などは拡大に否定的だ。【新井敦、内藤陽】
 柏崎刈羽について東電が県、柏崎市、刈羽村と結んだ現行の安全協定では、再稼働の前にこの3者の同意を得る「事前了解権」があるとされる。一方、UPZ圏内7市町と東電の間には、事前同意に関する協定はない。
 事前了解権を巡っては、茨城県で2018年、東海第2原発(同県東海村)の再稼働に関し、日本原子力発電が、立地する東海村だけでなく周辺5市にも実質的な権限を認める協定を結んでいる。
 研究会は、柏崎、長岡、燕、見附、小千谷、十日町、上越の7市と出雲崎町の有志議員で構成。各議会で賛同者を募り、7日現在で33人の参加申し込みがあった。再稼働への賛否は問わず、保守系から革新系までの超党派のメンバーによる会となる。8市町の他の議員にもオブザーバーとしての参加を呼び掛ける。
 長岡市で記者会見した呼び掛け人代表の関三郎・見附市議は「30キロ圏の自治体は住民の命と健康を守る責務がある。柏崎刈羽原発で事故が起きれば30キロ圏で影響が避けられない。住民の安全を守るための協定を目指したい」と述べた。
 研究会では、茨城県の方式を参考にし、事前了解権を盛り込んだ安全協定案を検討するほか、30キロ圏の各首長との意見交換、住民の意向調査の実施などを進める。設立総会は30日に見附市中央公民館で開き、午後2時から、市民も参加できる記念講演会を予定している。
 メンバーの議員は「3・11の福島第1原発事故は被害の範囲が広かった。避難計画策定を義務づけられた30キロ圏の自治体も納得できる安全協定が必要だ」と話した。

 ◇柏崎市長は否定的な考え

 「現行の安全協定の枠組みを崩すべきではない」。柏崎市の桜井雅浩市長は5日の定例記者会見で、柏崎刈羽の再稼働の事前了解権を30キロ圏の自治体に拡大することについて、改めて否定的な考えを示した。
 桜井市長は「30キロ圏の自治体が、再稼働を認める認めないとは違う内容の安全協定を結ぶのはしかるべきだが、すでにある3者の協定と同じレベルのものを結ぶのは違う」と指摘。「県と柏崎市、刈羽村は50年余り、原発の良いことも悪いことも一緒に時間を過ごしてきた。いろいろな部分で批判を受けたり、地域を二分したりした歴史を刻んだ自治体と、30キロ圏の自治体が同じレベルの安全協定を結ぶべきではない」と説明した。
 桜井市長はこれまで、周辺自治体にも実質的な事前了解権を認めた東海第2原発のケースについては一定の理解を示した経緯がある。しかし、それを柏崎刈羽の周辺自治体に適用することには否定的な考えを示していた。
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