[2020_07_14_07]原燃再処理工場 廃棄物を不適切管理 最長19年、高レベルも 是正進んでいるかと 原子力規制庁(規制委事務局)(東奥日報2020年7月14日)
 
 日本原燃の使用済み核燃料再処理工場(六ヶ所村)で、過去の試験運転で発生した放射性廃棄物が最長で約19年間、所定外の場所に置いたままになるなど不適切に扱われていることが13日、原燃などへの取材で分かった。極めて強い放射線を出す高レベル放射性廃液をガラスと混ぜた破片約160キロも含まれる。原燃は「安全上の問題はない」としている。
 2017年の原子力規制委員会の巡視を機に、本来の保管場所に移さず発生場所に置き続けるなどしていた計8件が発覚。試験運転後の長期停止により想定外の状態が発生したのに、それに合わせた管理方法を定めていなかった。原燃は当時、是正措置を19年8月までに取るとの計画を示したが完了したのは2件。新規制基準に基づく審査に事実上合格した後の今年6月、現状を規制委に報告した。
 規制委側は「対応が遅い」と問題視。この間の原燃の取り組みについて詳しく事情を聴く。
 原燃によると、約19年が経過したのは、クレーンで運搬作業中に変形した燃料集合体の一部。切断して容器に詰め、貯蔵施設で保管するはずだったが、変形のため切断できず、そのまま「受け入れ・貯蔵建屋」に置いていた。変形を直す器具を製作し、直した上で切断、保管する。
 高レベル廃液を含むガラスの破片は、ステンレス製の容器に入れた上で「ガラス固化建屋」の放射線を遮蔽した区画に保管。廃液は通常「ガラス固化体」(高レベル放射性廃棄物)として専用容器に入れて貯蔵施設で保管するが、破片は廃液をガラスと混ぜた際、溶融炉内に残ったのを削りったもので、形状が固化体と異なるため施設に搬出できないという。今後、専用容器に移して転倒防止措置も取り、固化建屋で保管を続けるとしている。
 原燃は「規制委事務局に指示された原因究明を先に行っていた」として、17年以降の保管は不適切ではないと主張。「規制委に相談しないとできない措置もあった。審査にめどが付いたら説明しようと思っていた」と話している。

 是正進んでいるかと

 原子力規制庁(規制委事務局)の話 2017年12月に日本原燃が示した計画通りに是正措置を進めていると思っていた。対応が遅い上、措置が先延ばしになったことの説明も受けていない。管理態勢に問題がないかを含め経緯を確認する。原燃に問い掛けをしなかったのか、規制庁側の対応も調べる。

 ルール定めず反省

 日本原燃の話 原子力規制庁の了解を得た上で処置を進めようと考えていた一が、2017年12月の面談で安全上問題がないことを説明すると、原因分析を求められた。その後、処置を進められる廃棄物については処置し、残りは現在まで保管を継続している。管理のルールを定めていなかったことは反省しており、今後、規制庁とルールを相談し適切に管理していく。
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