[2020_07_14_06]懲りない原子力政策 青森県六ヶ所村核燃料再処理工場は廃止すべき 鎌田 慧(ルポライター)(東京新聞2020年7月14日)
 
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懲りない原子力政策 青森県六ヶ所村核燃料再処理工場は廃止すべき 鎌田 慧(ルポライター)

 声を大きくして言うしかない。わが故郷・青森県に建設されている、県内最大の工場のことだ。
 建設開始から27年たったが、竣工式はまだ一度も行われていない。竣工しないからだ。
 高レベル放射性廃棄物が、工場の最も重要な建屋に漏れて、汚染されている。建設費は当初7000億円といわれたが、これまで3兆円をかけた「未完工場」である。
 もっとも危険な核施設、使用済み核燃料の「再処理工場」は、稼働の見通しはない。民間企業ではあり得ないが、税金と電気料金が無限に注ぎ込まれている。
 「来年できます」「再来年には」ともう24回もウソをついてきた。
 3兆円ものムダな投資はやめようとの声はあがらない。
 日本原発行政の「扇の要」と位置づけられた「核燃サイクル」。
 絵に描いた餅のアンコの部分が再処理工場だ。
 この工場が運転停止になったのは、2009年。高レベル廃液をガラスと混合してガラス固化体をつくる、高さ二十四メートルの「ガラス固化セル」で、廃液が床上に漏洩しているのが発見されて運転停止。危険性は福島第一原発事故後のメルトダウンで証明済みだ。汚染された固化セルのなかには、誰も入れない。
 住民に影響がなかったのがせめてもの幸いだった。それから今日まで停正したまま。
 それでもだれも廃止を宣言しない。
    (7月14日東京新聞朝刊25面「本音のコラム」より)
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