[2020_07_03_03]西之島 観測史上最も高い4700メートルの噴煙 活発な活動 (NHK2020年7月3日)
 
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西之島 観測史上最も高い4700メートルの噴煙 活発な活動

 小笠原諸島の西之島では観測史上最も高い4700メートルの噴煙が観測されるなど、活発な噴火活動が続いています。大量の溶岩も流れ出して島の拡大が続いていることも確認されていて、今後の活動が注目されています。
 小笠原諸島の父島の西、およそ130キロにある西之島では、6月中旬以降、噴煙の高さが1900メートルを超える噴火が続くなど活発な活動が続いています。
 気象庁の気象衛星「ひまわり8号」の観測では、噴煙は3日午後3時の時点で、観測史上最も高い4700メートルに達していることが確認されました。
 先月29日の海上保安庁の航空機による調査では、島の中心部の火口で連続的に高温のマグマを噴き出す「ストロンボリ式」の噴火が起きているのが確認されています。
 また、火口の壁を壊して島の南西側に大量の溶岩が流れ出して海にまで到達し、現在も島が拡大している様子が確認されました。
 西之島について気象庁は「火口周辺警報」を継続し、山頂火口からおおむね2.5キロの範囲で、大きな噴石や溶岩流に警戒するよう呼びかけています。
 噴煙の高さや風向きによっては、父島などで火山灰が降るおそれがあり、気象庁が発表する「降灰予報」など最新の情報に注意が必要です。

専門家「最大級の活動 注意深く監視」

 西之島の観測を続けている東京工業大学の野上健治教授は、現在の活動について、「地下から非常に多くのマグマが供給されたことで山体の一部が崩れてしまい、大量の溶岩が島の南側に流れ出している状態だ。噴煙も非常に高く、噴火が確認されて以降では、最大級の活動であるのは間違いない」と話しています。
 今後の活動については、「見通すのは難しい」としていますが、海底から出る火山ガスなどで海水が変色する範囲が今も広がるなど、活動が静穏になる兆候は見られていないということです。
 このため野上教授は「火山灰や溶岩を大量に出すような活動は、今後もしばらくは続く可能性がある」と指摘しています。
 そのうえで、「火山灰の下ではGPSやレーダーが使えなくなる可能性があり、航空機だけでなく周辺を通る船舶も注意が必要だ。火山ガスの二酸化硫黄が大量に放出されると、父島や母島に漂ってくる可能性があり、今後も注意深く監視する必要がある」と話していました。

西之島 6年半の活動経過

 西之島の噴火活動は、今から6年半前の2013年11月に始まりました。

<2013年11月に噴火>
 それまでにあった元の西之島の南東の海底で噴火が発生して新たな島が誕生すると、翌12月には元の島とつながって地続きになりました。
 その後も噴火活動は続き、流れ出した溶岩で島は拡大を続け、▽半年後の2014年5月には元の西之島の4.8倍、▽1年後の2014年10月には8.6倍、▽1年半後の2015年5月には12倍にまで大きくなりました。
 およそ2年にわたって溶岩を流し続けるような噴火は世界的にも珍しい現象で、島の拡大に伴って、日本の領海や排他的経済水域が広がりました。
 その後、いったん噴火活動は静穏になりましたが、2017年4月に再び噴火が確認され、活動が4か月ほど続きました。
 そして、おととし(2018年)7月のごく小規模な噴火を最後に、1年半ほどは噴火は確認されていませんでした。

<2019年12月以降再び活動活発に>
 ところが、去年(2019年)12月に再び噴火が確認されると、ことし(2020年)に入っても活動が続きます。
 6月からは噴煙の高さが1900メートルを超える噴火が相次ぎ、さらに活動が活発化し、溶岩の流出による島の拡大も続いています。
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