[2020_06_22_03]首相、コロナ対策検証に後ろ向き 「収束後」繰り返し、記録化にも消極的 「原発事故参考に」指摘も(北海道新聞2020年6月22日)
 
参照元
首相、コロナ対策検証に後ろ向き 「収束後」繰り返し、記録化にも消極的 「原発事故参考に」指摘も

 政府が新型コロナウイルス感染症対策の検証に後ろ向きだ。安倍晋三首相は「収束後の適切な時期に」と繰り返すが、野党からは第2波、第3波に備えるため、早期の検証を望む声が上がる。専門家会議や連絡会議の議事録を作成しない対応も検証の妨げになりかねない。民間の検証組織が設けられた東京電力福島第1原発事故を参考にすべきだとの意見もある。
 「『治に居て乱を忘れず』。今回の感染症の危機によって示された最大の教訓ではないか」。首相は18日の記者会見でコロナ禍の「教訓」を口にしたが、実際の検証は進んでいない。
 首相は15日の参院決算委員会で「感染が収束した後の適切な時期にしっかりと検証を行う」と述べたが、「収束」の定義は不明だ。菅義偉官房長官は5月下旬の記者会見でその定義を問われ「感染リスクをゼロにすることはなかなか難しい」としか述べていない。
 検証に不可欠な記録にも消極的だ。政府はコロナ対応を公文書管理の指針に基づく歴史的緊急事態に指定しながら、専門家会議は「政策を決定・了解する会議」ではないとして、発言を箇条書きにした議事概要にとどめた。首相や閣僚が対策を議論する連絡会議の議事概要には、首相の発言が記載されていなかった。
 一方、2011年3月の東日本大震災に伴う福島原発事故では政府のほか、国会や民間でも事故調査委員会が設置され、特に民間の事故調は首相の責任を厳しく問う報告書をまとめた。
 民間事故調と言われた福島原発事故独立検証委員会の一員で、北大公共政策大学院の鈴木一人教授(政治学)は事故の検証は収束していない時期に行ったとした上で「政治は将来にも責任を負う。経緯が分からなければ何が正しかったのかも分からない。検証は未来の国民のために必要だ」と指摘する。
KEY_WORD:コロナウィルス_:HIGASHINIHON_:FUKU1_: