[2020_06_04_01]福島・飯舘村、国へ復興拠点外の除染求めず 家屋解体は要請 住民に方針説明(毎日新聞2020年6月4日)
 
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福島・飯舘村、国へ復興拠点外の除染求めず 家屋解体は要請 住民に方針説明

 福島県飯舘村は3日、東京電力福島第1原発事故に伴う帰還困難区域となっている長泥地区のうち、特定復興再生拠点区域(復興拠点)外の住民を対象に、地域の再生方針を説明した。村は、復興拠点の避難指示解除が予定される2023年春に同地区全体の一括解除を目指すため、国に家屋の解体は求める一方で拠点内と同等の除染は必ずしも求めないとの方針を説明した。
 説明会は非公開で行い、拠点外に家屋を所有する15世帯のうち、11世帯が出席した。
 村によると、住民には復興拠点外に村営復興公園を整備する構想や、荒廃した家屋が来訪者の目に触れないよう、国に家屋解体を求めたことを説明した。また、地区全体の一括避難解除を優先するため、拠点外については、従来通りの除染はされないことを了承するよう住民に求め、村民からおおむね同意が得られたという。
 説明会後、菅野典雄村長は「(復興拠点を整備する)6町村で復興の進み具合も違う中、拠点外に戸数の少ない長泥にも何かいい方法はないかと考えた結果」と、今回の判断の背景を説明。家屋を解体することで線量低減の効果が期待できることを指摘し、「道路脇の除染もされるだろうし、できるだけ線量を下げることを(国も)考えていると思っている」と述べ、安全上の不安はないと強調した。
 原発事故まで地区内で酪農を営んでいた田中一正さん(48)は、「これまでまったく先が見えなかったが、少しでも前向きに話を進めようとしてくれているのはよかった」と評価。一方で、「今日は除染に関する質問も出た。大事な古里だから、住もうと思えば住める状況にしたいという気持ちは皆同じ」と、地区住民に除染への期待が根強いことも明かした。【高橋隆輔、磯貝映奈】
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